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エッセイ・コラム 日常生活雑感

山の遭難

田谷 英浩

 頻発する山岳事故に関して、”ヘリ出動費は全額当事者に負担させて自覚を促がせ”というライター羽根田治氏の主張に対し、朝日新聞は“確かに本人の責任という例も多いが、なにせ相手は大自然。計算できない場合もある筈”として、読者にこの主張を正論と見るか、極論と見るかと問うている。

 昨年の北海道トムラウシ遭難などに見られるように、ここ数年報道される山の事故の主役は、地図も読めない、天気予報も見ない、旅行会社主催のツアー登山に安易に参加する中高年である。

 我々の仲間には日本百名山を達成したI氏や周到に準備して3,000m級に入山するH氏のような山好きもいるが、彼らの周辺でこんな話は聞いたことが無い。

 携帯電話の普及で異変が起きれば直ぐ救助を呼べる時代になったが、これをいいことに無自覚、我儘な連中が安易に救助要請をする。挙句救助に向ったヘリの事故が多発しているとこのライターは主張する。

 確かにヒマと金のある中高年を目当てに、マスコミ、登山用具メーカー、旅行会社が登山を煽っているのは紛れも無い事実だ。そうでもなければ、誰が金を払ってまで、わざわざ、辛い、苦しい思いをするために山に登るなどというようなことをするものか。

 山へ行くということは相応のリスクの伴う場所へ自らの意思で行くのだという自覚を持つべきで、連れられて行く等は邪道と心掛けるべきである。ゴルフ場で直ぐカートに乗りたがる連中が、高山に入るなどという矛盾を見るに付け苦笑する。

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