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エッセイ・コラム スポーツ

ゴルフを愛した偉人たち

都甲 昌利

 体力、気力が衰えてラウンド数は減り、最近はゴルフ関係の本を読んでいる。

 ゴルフを現在のような形にしたのは英国の王室や貴族達だった。世界のゴルフ・ルールを統括するロイヤル・アンド・エイシェント(R&A)のキャップテンにケント公やヨーク公(アンドルー王子)が就いていたのはその証だ。

 「世紀の恋」で王位を捨てたエドワード8世もゴルフが好きで、R&Aのキャップテンに選ばれたことがある。彼は1922年来日、当時駒沢にあった東京ゴルフクラブで行われた、日英ゴルフ親善試合で昭和天皇(当時は皇太子)率いる日本チームと対戦した。昭和天皇も非常なゴルフ好きだったということである。皇居内のゴルフ場で絶えず練習をいていた。しかし、1931年の満州事変、1937年、日中戦争と戦火が拡大するに及んで、ゴルフをきっぱりとやめられた。

 シェークスピアがゴルフ愛好家だったということが、最近研究者が発見した資料に書いてあるそうだ。彼は運動神経が抜群でゴルフはシングルの腕前だったらしい。生まれが1564年、死亡が1616年だから、国王ジェームズ1世時代だ。ゴルフ狂の王が又、大変な演劇ファンで、シェークスピアを宮殿にしばしば招いていたから、ゴルフの接点はあったに違いない。シェークスピアが「終わりよければ全てよし」というゴルフ用語を使用したことからも伺える。

 日本人では吉田元首相に請われ、日米折衝、日本国憲法成立にかかわった、白洲次郎があげられる。若くしてイギリス留学、ケンブリッジに学ぶ。本場仕込みのゴルフ、晩年は軽井沢ゴルフクラブの理事長を勤め、マナーにうるさく田中元首相のマナーの悪さにクレームをつけた気骨あるゴルフ愛好者。他に西園寺公一がいる。彼もオックスフォードに留学ゴルフを覚え帰国しゴルフを愛したが、日本での賭けゴルフをするプレーヤを見てゴルフを止め、釣りに転向した。
 今やゴルフは庶民のスポーツになった。これらの偉人たちは今日の隆盛を想像したのだろうか。

参考文献:『ゴルフと日本人』 田中義久 岩波新書
『ゴルフへの恋文』 夏坂健 新潮社
『ゴルフ千年』 大塚和徳 中公新書
『ゴルフ大全』 バーナード・ダーウイン
他 

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