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エッセイ・コラム 日常生活雑感

「眼鏡」を掛け替えよう

野瀬 隆平

 日本人はどうも物事をネガティブに悲観的に捉え過ぎるのではなかろうか。自虐的といってもよい。政治や経済そして社会のあらゆる問題に対して、マスコミの論調やそこに登場する評論家の言うことはワンパターンで、視点が偏っている。将来起こりうるリスクを事前に察知して警鐘を鳴らすのは良いが、マイナス面ばかりを強調する嫌いがある。
 最近の日本は八方塞がりの感がする。マスコミはそう言い立てる。しかし、悪いところばかりに眼を向けて批判するのではなく、良いところに光を当ててムードを盛り上げる方が、結果的に社会のためになる。少なくとも私はそう思っている。
 そんな事を考えていたら、NHKで放送されたある話が耳にとまった。「ラジオ深夜便」の「明日への言葉」という番組で、書家の武田双雲さんが言っていたことだ。
 これまで自分は世の中を「あら探し眼鏡」で見ていた。すると不平不満ばかりがつのり少しも楽しくない。ところが、これを「感謝眼鏡」に掛け替えて別の視点から見ると、違った景色が見えてきて、楽しく心が豊かになった、というものである。例えば、他人を見て欠点をあげつらうのではなく、良いところに目を向けて率直に評価し、相手にもそれを伝えるなど。

 ところで、我々が住んでいる日本、誠に素晴らしい国だと思う。清潔で安全、水道の水が飲める、欲しいものが何でも売っている、時間通りに電車が来る、病気になればすぐに医者に診てもらえる(しかも健康保険で)、何でも言いたいことが言える、等など。空気の存在のように、当たり前のことだと思っている。しかし、これらの条件をすべて満たしている国は、ご承知の通り、世界広しといえども日本しかないのだ。しかも、和の心をもった穏やかな人たちが住んでいる。
 「そんなこと言っても………」と反論する人の声が聞こえてきそうだ。そのあなた、「あら探し眼鏡」を「感謝眼鏡」に掛け替えて、もう一度世の中を見直して見ませんか。

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