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エッセイ・コラム 政治・経済・社会

電力の有効活用について

稲宮 健一

 電力のクライシスが叫ばれています。差し当って、節電に努め、電力会社の行なう発電量の増強の応急措置に期待することだと思う。手元に詳しい電力に関する詳しい数値データがある訳ではないが、この際、思いつくことを感覚的に述べてみたい。

1.電力消費の平準化
 夜間電力が割引であることはご存知の通りです。夏の暑い盛りの消費電力が賄いきれないと予想されています。家庭では夜間に冷蔵庫で氷を沢山作り、昼の暑いときの停電に備え、この間の節電のため、かつての氷冷蔵庫として使う。この考えの延長上に、氷クーラーの開発が進めばよい。夜間に氷を作り、昼はそれを冷源として空気の循環以外の電力なしで冷房や、冷蔵庫として使う。夜間電力の貯湯があるのだから、貯氷があっても良い。夜間電力用を使ったクーラーや、冷蔵庫は如何ですか。さらに、ビルの冷房に同様な考えを大幅に適応する。ビルへの適応は既に行なっているが、さらに、大規模なビルでは地下の深い所では温度は安定しているので、昼の暑さのピーク時の熱をここに放散させ、さらにここから冷気を汲み上げることを考えては如何ですか。昔から、井戸水は夏冷たいと言われています。地域冷暖房など、大規模な熱の管理を考える切っ掛けになればよい。

2.太陽光発電の効率向上
 発電所が期待できないなら、自家発電を考える。太陽光発電プラス、蓄電池の組み合わせを普及させる。太陽光は1平方メータ当たり、1kWのエネルギーの恵みをもたらしている。ここからいかに有効に電力を取り出すかが課題です。現在は、発電効率が低いのと、値段が高いのが問題点である。現在のソーラセルの変換効率は20%に達しない。この際、大きなコンペを行い、50%達成を目指す商業ベースの研究の一大コンペを興しはいかがか。理論的に50%の少し手前ぐらいに達成いできると聞いています。また、電池の原価低減を促す。いずれも、一大キャンペーンで、開発費の投入を行なう。製造に要する原価と、全寿命に渡る発生電力の売電価格の比率の向上に努めることが大切です。
 開発できれば、家庭の消費がお幅に削減できる。成功すれば、世界中をリードできる。

3.効率の悪いクーラーや、冷蔵庫の買い替え促進
 エコポイントで、家電製品が売れましたが、現在のエアコンや、冷蔵庫などの家電製品は効率が格段に向上している。古い効率の悪い家電製品を買い替えをさらに促すように、再びキャンペーンを行なう。単に価格が安いだけでなく、維持費の節約をもっと広告すべきである。

4.応急処置
 応急処置として、小さな発電設備を大きなプラント工場に設置する。六本木ヒルズのビルでは、ビルの内部のガスタービン発電機で3.8万kW発電して、余った電気は東電に売電しているとのこと。大型の火力発電所の設置には排ガスや、騒音などの環境アセスメントなどに沢山の準備作業が必要である。しかし、臨界工業地帯などの既に工場の専用地帯には小型の発電機を複数設置することは容易なのではないか。一つ一つは小規模ですが、少し高めの売電で、東電が一般企業に小規模発電所を設けるよう公告したら、ピーク電力を賄う補強に役立つ。

5.電力料金の値上げ
 夏と、冬の電力需要が高い時期に高めの消費をする消費者の電気料金を値上げし、春、秋の涼しいときに安くする。これで、ピーク電力の低下が期待できる。電気料金は段階的に高くなっている。この段階を細かくして、平均な消費量を超えたら、高めの料金を設定して、皆が欲しいときは高い値段で電気を売る。経済原理に基づく省エネ方法である。
 スマートグリッドが普及するなら、細かい時間帯で値段を決めたら良い。

6.廃熱の有効利用
 製鉄所、ガラスのメーカなど、大規模なエネルギーを使っているところは廃熱を有効利用しているとは思えない。廃熱を上手に使う工夫をしたら如何か。臨界工業地帯など、大型のプラントのある場所では連携を密にして、廃熱を有効利用して、発電に使えないか。

7.直流送電の普及
日本では、東西で周波数が異なるので、両者間での電力の融通に限界がる。既に検討されているが、本格的に直流送電網の普及を図る。非常時の対策として、融通する電力を想定して、それに見合う日本の安全に必要なレベルの直流電力網を整備する。直流は送電に利点は多いが、直流独得の機器や、直流交流電力変換など、開発課題も多いので、着実に開発を進める。

8.一極集中の緩和
首都圏の危機はしばらく続くと思われる。ここで、関西、中国、九州で省エネ産業を興してもらい、西部地区の活性化につなげる。関西人は東京に行くのを「東下り」と言って、もともと、日本の中心は関西と思っている。ここで、西部の日本に頑張ってもらう。そして、首都圏一極集中を緩和し、東電の負荷を軽くする。

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