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エッセイ・コラム

KISSして…、お願い!

西川 武彦

 ご縁があって企業OBペンクラブに入ってから十年余り経った。そこで自分なりに習得したのはワープロ技術と文章の書き方である。
 文章を書くのが嫌いだったわけではない。生来の左ききを右ききに変えさせられたために、遅筆で苦労したのだ。英文タイプはほぼマスターしていたので、ワープロの習得で一気に筆が走り出した。
 ところが最初は独りよがりで、エッセイを書き上げて投稿しても、読み返すと文章にリズムがなく冗長で冷や汗ものだった。
 クラブには「何でもかこう会」という勉強会がある。なんでもよいから800字で書く。書き上げたものを勉強会に提出すると、無礼講で校閲、推敲、校正を受ける。新聞社の元プロなど、一家言を持つうるさ型が揃っている。持ち味を損なうことなく修文される。そこで揉まれて少しは上達したと思っているものの、手前味噌か。

 文章には独特の癖、リズム、長短、表情がある。人間の容姿、性格が異なるように、その人なりの味わいがあるのだ。800字のエッセイに作者が浮き彫りされている。
 ただし、読んで貰うために書くのだから、基本の一つは、文章が易しく短いことであろう。例えば、接続詞の「が、」を使わないで、二つの文に分ける。勉強会で学んだことの一つである。短く簡潔に…、IT用語ではKISS(Keep it short and simple)という。

 グローバル化が進む中、Facebook・Twitterなどが通信手段として普遍的に使われている。異国人に短く易しく伝える。FYIのような略語を多用する。文章は英単語1500語を組み合わせ、接続詞を使わないで短く区切る。Englishを捩ってGlobishというらしい。相手が読んでくれるように、読み易いように…。閑話休題。

 Kissが上手いか下手かで成否が決る?わが身を振り返り苦笑いする御仁がおられるかもしれません。とはいえ、長い文章で綴る著名作家もおられます。遊び心を忘れてはいけません。勉強会で、長い文章に拘る御仁に、“Keep it short, stupid! ”などと叫んだ途端、血圧が上がって救急車なんてことにならないようにくれぐれもご用心を!

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