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エッセイ・コラム

スーパー観察記―食を考える その1

大平 忠

私の住む東戸塚の駅周辺には、家から歩いて7分以内にスーパー4店、生協2店がひしめいている。これらの店を2013年4月から6月にかけて観察した。そのときの記録と感想である。従来、家内に頼まれて行くときには気がつかなかったのに、今度注意して見ながら歩くと驚くことがいくつかあった。

気がついて驚いたことは、まとめると以下の4項目に集約される。

  1. 食材、食品は豊富である一方、捨てられている食品が実に多い。

    売れ残り品が山のように出ることが分かった。夕方から閉店時間(遅いところは11時まで開いている)にかけて、10%~50%食品によっては値引き販売される。しかし、閉店時になっても相当売れ残っている。それらは廃棄されよう。弁当・惣菜、生鮮食品(野采・魚肉)などである。スーパーによっては、見切り品販売コーナーを設けて、野采、あるいは賞味期限ぎりぎりの食品が置いてあるが、全部は処理できていない。

    [参考] 2013年6月放映NHKスペシャル『食の廃棄』によれば、

    家庭:
    1食分が捨てられている。
    食べ残し27%、 直接捨てる19%、 余って捨てる54%
    製造~小売:
    商品入れ替え34%、納期切れ34%、売れ残り・破損他32%
    家庭200~400万t 製造~卸~流通~小売300~400万t
    合計 500~800万t(1000万tを超えるという数字もある)

    《感想》 無駄をいかに無くすかが課題であろう。
    家庭・学校・職場、「もったいない運動」の徹底が必要である。
    製造~小売までの無駄の削除
    「3分の1ルールの存在」 これは、生活クラブ生協の展示物で初めて知った。製造された食品は、小売(例えばスーパー)に配達した時点で、その食品の賞味期限が12カ月だとすれば、4カ月過ぎた物は受け取ってもらえないというルールである。国によって期限が異なり、日本が一番厳しい。イギリスは4分の3でOKである。このため、日本では、製造・流通の過程において発生する賞味期限切れの食品が、諸外国と比べて多くこれが問題となっている。
    NHKスペシャルによれば、この問題への取り組みがようやく始まったとか。製造、流通、小売のそれぞれの関係者が集まっての検討会が行われていると報じていた。
    「食の自給」を論ずるまず第一歩は、「捨てられている食」をいかに少なくするか、「無駄減らし」であろう。

  2. 輸入されている食品が想像以上に多い。

    大まかに食品の種類を分けてみると、国産だけの食品は米だけであった。
    (小麦・大豆原料食品)
    国内で消費されている小麦、大豆のほとんどは輸入品である。米に次ぐ主食のめん類、パン類は輸入品の塊である。豆腐、納豆は国産大豆と明示してあるものが多いが、味噌、醤油は特に国産大豆とは断っていない。(遺伝子組み換えではないと書いてあるが)
    (野采)
    ほぼ国産であるが輸入品に頼っているものもある。
    カボチャ(メキシコ、ニュージーランド)、枝豆(タイ)、オクラ(フィリッピン)、パブリカ(オランダ、韓国)、アボガド(メキシコ)
    店頭品のジャガイモは国産であった。しかし、統計ではかなり輸入されているので、輸入物は調理食品あるいは外食に廻っているのであろう。
    (肉)
    牛(アメリカ)、豚(アメリカ、ブラジル)、鶏(アメリカ、ブラジル)
    (魚)
    サケ(チリ―、カナダ、ロシア、ノルウェー、アメリカ)、ヒラメ(アメリカ)、カレイ(アメリカ、デンマーク)、エビ(インドネシア、インド)、
    タコ(モーリタリア)、シシャモ(ノルウェー)
    (加工食品・調理品)
    ハム・ソーセージについては明示がないものがある。
    冷凍食品になると、工場が、タイ、アメリカ、中国のものが目立つ。
    工場が国内でも、原料が国産と明示してあるものは少なく、輸入品が大量に使用されていると思われる。
    (弁当・総菜)
    原料の国産、輸入の別の記載はほとんど無い。

    《感想》 日本の「食の自給」とは何だろうか。
    日本の現在の食生活は、輸入品を無くしては今や考えられない。輸入が途絶えれば壊滅してしまう。「食の安全保障」とは、国産品奨励もさることながら、諸外国との関係をいかに保っていくかに大きく懸っている。
    今後、国の外交を考えるときに、食の問題への配慮を忘れてはなるまい。

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