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エッセイ・コラム

不祥事防止対策委員会

三春

 面白いものを見つけた。某市職員の不祥事リストである。これによれば、服務規律違反や公務員倫理違反などで懲戒処分を受けた者が、2014年5月から翌年2月の10カ月間だけで14名に昇る。年齢は26才から58才までと幅広い。氏名は伏されているが、所属部署、年齢、不祥事の概要、処分内容が記されている。
 内訳を見ると、痴漢・盗撮などのわいせつ行為が5件、暴行・傷害と飲酒運転がそれぞれ3件ずつ、出勤・休暇関連が2件、その他1件である。

 民間にもありがちな内容がほとんどだが、ちょっと目を引いたのは、

30才・事務職(停職6ヵ月)
医師の診断書を偽造して不正に何度も病気休暇を取得したほか、偽りの生理休暇を正当化するための診断書も偽造。
診断書には定型様式がない。PCと三文判を使えば素人でも簡単に偽造できる。年次有給休暇、年末年始休暇、夏休み、特別休暇、さらに本物と偽物の病欠を合わせると……ほとんど出勤せずに給与満額? クビにもならず停職6ヵ月とはなんともお優しいことで。
34才・事務職(停職3ヵ月)
所在不明のまま1カ月以上の無断欠勤。
民間会社の熾烈な競争に比べれば穏やかな環境だろうに、いい歳をした大人が登校拒否の中学生なみ。これほどではなくとも、いわゆる体調不良を理由に1週間ほど休む者はざらにいるらしい。いつでも誰でも代われる仕事なのだろうか。
55才・バス運転手(停職2ヵ月)
左折すべき交差点を誤って直進した。客に指摘されて気付いたがパニック状態となり、営業所に指示を仰ぐための無線操作もミスして連絡不能。やむなく自己判断でUターンしたものの、車体を電柱にぶつけた。
今回はたまたま露見しただけで、実際にはこんなことが頻発している。運行管理も電車ほど厳しくはないのだろう。人身事故を引き起こさなかったのは不幸中の幸い。

 ここまでは某市とすればいわば日常茶飯事だったのだが……、「入札情報の漏えいによる職員逮捕」というオオゴトが加わり、ついに「不祥事防止対策委員会」なるものを立ち上げた。そんなことで効果が上がるとは誰も思っていないだろうが……。

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