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エッセイ・コラム

博多どんたく

大平 忠

 博多の祭り「博多どんたく」を説明するのは難しい。こんな祭りに出会ったのは初めてである。盛り沢山でどこへ何を見に行ったらいいのかさっぱり分らない。
「博多どんたく」は5月3、4日の両日開催の予定だったが、3日は雨で屋外の演し物は流れてしまった。4日は快晴となり、前日中止となったせいもあって、福岡市内は行くところ人で溢れていた。
「どんたく」の語源は、オランダ語の「ゾンターク=休日」に由来があるという。中身は、一言でいえば、福岡市民あげての元気な芸能大会と言うべきか。
見ものを列挙すると、

  1. ①、市内36箇所に設けられた舞台(これを演舞台と言っている)で、踊り、バンド、歌、にわか漫才・・・が演じられる。博多駅前の演舞台では、「ひょっとこ踊り」を見物した。「ひょっとこ」が200人出てきたのには驚いた。この演舞台36箇所では、2日間何かしらひっきりなしに演じられるというのだからたいしたものだ。福岡市民は見物だけではなく自分が何かやらねば気が済まない気質なのだろう。しかも疲れを知らない。
  2. ②、何百年も続くという名物「松囃子」が、街中を練り歩いているという。見逃しては一大事と、家内と二人で追いかけた。迷子になってうろうろしていると、なんと向こうからやってきた。面を被った恵比寿さんは夫婦で馬に乗り(恵比寿さんは独身ではなかった)、上下姿の大人や稚児を従えている。後ろから大黒さんの部隊が付いてきた。もう一人、福禄寿の一隊は先へ行ってしまったらしい。この「三福神」が、博多をしっかり守っているそうだ。このとき花自動車3台が通り過ぎていった。LEDと花で飾り立て、夜になればさぞかし光り輝くことだろう。
  3. ③、最大の繁華街・天神の大通りが「どんたく広場」となっている。まず小中高大の吹奏楽のマーチが延々と続く。いずれも見事なマーチである。福岡は吹奏楽が盛んなのだろうか。お目当て精華女子高等学校は全日本高校マーチングコンテストで17年間連続1位だというからすごい。聞くところによると年363日管楽器を吹いているらしい。確かに細身の真っ白なズボンと目深な帽子姿の100名を越すマーチは颯爽かつ整然と演奏も行進も見事であった。

 しかし、ここ「どんたく広場」は集まって来る人人人で、身動きができない。歩くに歩けない。昨年の最優秀どんたく賞を取ったというチームの日本舞踊の行進が始まったのが16時、10時から歩き詰めだった我々二人はここで草臥れ果てて家に帰った。この後40を越す踊り、チアダンスなど各種の「どんたく隊」が行進し、最後は、見物客も一緒になっての総踊りで締め括るとか。気が遠くなる。

 例年200万人が参加するという。福岡市の人口は150万人である。どうやって数えるのか分らないが、日本でも有数の祭りであることは間違いない。福岡では7月になると、勇壮な水祭り「祇園山笠」がある。ここ福岡の人々は、よほど祭りが好きなのだろう。しかし、身体が丈夫でないともたない。
 願わくは、福岡市民として来年は身体を鍛えて最後を飾る総踊りに参加してみたい。家内にはとんでもないと一蹴された。

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