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エッセイ・コラム

『職業と人生』 (人生とは何か、何の為に働くのか)

安藤 英千代

 今年も新たな社会人が誕生しました。
 いつの時代も若者は大きな夢を持ち強い決意で社会人スタートします。特に大震災直後の2011年4月、ある新入社員代表挨拶が強く印象に残っています。
 「困っている人がいれば、家族同様に全力で支援する社会人になりたい。・・・そして互いに支え、切磋琢磨し… どんな困難にも挑戦し続ける!」
 まさに至言で、約2万人の尊い犠牲者の願いは、「全ての日本人が、虚構の豊かさや繁栄から目覚め、真に人間らしい協力的で暖かい社会を取戻し、共に国難を乗越えてもらいたい」という事ではないでしょうか。

 このように若者は崇高な夢と決意を抱いて社会人スタートします。しかし現実の仕事は想像以上に厳しいものです。覚えるべき事は山ほどあり、勉強しても勉強しても深さを増し、人間関係は難しく、失敗すると気が滅入り、色々な困難な問題・課題が山積みになっていく…。「果たして自分はやっていけるのか…」と思い悩む日々。3ヶ月・3年目の危機。この時期にかなりの若者がメンタル不全となり退職者もでます。 しかしこれは誰もが通る苦難の時期であり、それゆえに先輩は、「石の上にも3年だ。まず3年間一生懸命頑張れば道が開ける。苦しくとも天職と思って頑張れ!」と励ますのです。

 現代の若者も、同じように悩み苦しみ、時には退職も考えるのではないかと思います。かく言う私も入社後2~3年間は、毎日退職する事ばかり考えていました。
 そういう苦しい時期に是非読んで欲しいのが、「職業と人生」(田中良雄:著)です。40年前のベストセラーですが、目からウロコの落ちる人生指針が満載です。 私もこの1冊に救われて40年間の会社生活を全うできました。今回はその中から数項目を紹介します。是非アマゾン等で取寄せ、身近な若者への紹介をお勧めします。

○人生とは・・・
一生涯自分を育てていく修行の道程
○仕事の徳・・・
苦痛な仕事に耐え一生懸命頑張れば、ついには嫌いが悦びになる。これが「仕事の徳」で全ての仕事に必ず備わっている。
○仕事が人を育てる・・・
仕事が人間を良い者に育てる。良い人間が良い仕事を生み、相互が限りなく向上進展を遂げる。
○一隅を照らす・・・
昔中国の魏王が「私の国には宝石が十個あり、これが国の宝だ」と自慢した。すると斉王は「私の国は一隅を照らす人が沢山いる。これが私の国の宝だ」と答えた。斉の民のように自分に与えられた仕事を懸命に励み、一隅を照らす者こそ国の宝だ。

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