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エッセイ・コラム

キャリア開発で充実人生を(一)

安藤 英千代

 雇用状況は緩和されましたが、新卒三割が三年以内に退職する定着率の悪さが社会問題になっています。その背景には、働く意味の理解が浅く仕事の選択ミスマッチがあります。これは根が深く、文科省は、2011年度から大学キャリア教育を義務化しました。更に五割以上が進学する高校生は、大学進学が目的化し、大学合格で目標を見失い、自主的な勉強時間が低く危機的状況です。この為、文科省は、キャリア教育を高校生にも広げました。
 「キャリア教育とは、社会人として仕事をするのに必要な能力や態度を育てる教育」の事です。

 一方、社会人に必要な能力や態度は、生涯絶えず努力して向上させる必要があります。社会人、家庭人としての成長も求められ、定年退職後も「地域社会人としての能力や態度の維持向上」は必要です。アメリカの心理学者 D・スーパーは「職業的発達段階理論」で、キャリアは生涯を通じて発達し、人生は年齢に応じた「五つの発達段階」に分けられる事を示しました。中でも 第二期 探索期(16歳~25歳)は、沢山のキャリア・パスが新規スタートする大変な時期です。 特に18歳で就職する高卒者は、心の準備も不十分なままプロとして早期成長と、大人としての厳しい自己変革が求められる為に、心の負担やストレス症で悩み、入社1~3年で退社する人の割合が高くなっています。

 私達一人一人が人生の目的意識をしっかりと持ち、自分の発達段階を把握して自分を見失わず、周囲に踊らされず、自分の人生の階段を一歩一歩登る地道な努力を積重ねることが重要です。
 また人間は機械ではなく、心が柔らかい繊細な生き物です。その成長度にふさわしい適切な教育訓練、職場指導、環境整備が必要です。
 若手を指導するベテラン・年長者も、一生続く発達段階を意識して自らのキャリア開発を続け、後に続く若手後輩のキャリア開発に対して適切な指導・支援をしていく事が自分自身のキャリア開発や人生の充実に繋がります。

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