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エッセイ・コラム

虹を見るように歴史を見る(その1)

安藤 英千代

 大学一年生に「高校で一番面白くなかった学科は?」と質問すると、大抵の学生は「歴史」と答えます。 理由は「色々な出来事や年代等を覚えさせられる学科だから全く面白くない。受験で仕方なく勉強した」です。自分の国の歴史に興味がなく、世界各国の成立ちや文化に興味のない若者が、果たしてグローバル社会で日本人として一目置かれる存在になれるでしょうか?

 大学講師6年、大半の学生が同じであることに危惧し、「一体今の中学・高校でどんな歴史教科書が使われているのか?何故面白くないのか?」が気になり、教科書を購読しようとしました。ところが大書店になく、ネットでは購入できず、大きな公立図書館でも 「重要な書籍の筈の教科書」が置いてありません。
 唯一学校が教科書選定する期間の 6~7月に、神田の三省堂本店で期間限定販売している事を突き止め、数年前にようやく購入できました 。こういう 一般社会人が容易に歴史教科書を購読・閲覧できない状況と無関心こそが、日本人が歴史真実に疎く、近隣諸国の虚偽やデマローグの歴史攻撃を受けても反論できず、自信喪失して反省ばかりしている国民性を作ってきたのではないでしょうか?
 また実際の歴史教科書は膨大な無機質の歴史事実が羅列されているだけで、時代背景やその時代の庶民の生活や価値観、代表的人物像など、歴史としての骨格や血や肉が少なく、「成程これでは面白くないし読みたくもない」と納得です。何故国民は、こういう状態を放置し無関心なのでしょう?

 それでは歴史とは何でしょう?
 年表に書かれている事件や事実が歴史なのではありません。まず「本当の歴史を見る目」を持たないと正しい歴史は見えず、歴史の面白さも教訓も得られず、日本人としての立脚点も定まりません。その視点を故渡辺昇一氏が、「二つの比喩」(出典:「渡辺昇一の少年日本史」致知出版社) として紹介しており、その冒頭部を(その2)で紹介します。詳細は購読のうえご確認ください。

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