言志四録(佐藤一斎)に学ぶ(その3)
西郷隆盛が愛読した「言志四録」全1133条の中から、私が選んだ若者に大事にしてほしい18~27条を紹介します。
18.真に大志ある者は
本物の大志を抱く者は、どんな細かいことでも手を抜かない。本物の遠大な計画を持つ者は、どんな些細な事も軽んじない。
19.率先垂範、徳をもち接しよう
口先だけで人を諭しても、誰も従わない。自ら先頭に立って実行すれば、人は皆見習う。更に徳をもって感化すれば、一人残らず自然に心服してついてきてくれる。
20.自分の言動を客観的に視る
自分の言葉は自分の耳で聴き、自分の行動は自分の目で視る。自分自身の言動を客観的に聴き、客観的に視て、自分の心に恥じる所がなければ他人も必ず心服してくれるだろう。
21.人生の暁にやっておくべきこと
人は若く元気盛りの時は、時間の大切さを知らず惜しもうとしない。40歳を過ぎると時間の大切さが分かってくるが精力が衰え始める。それ故、若い時に志を立て奮励努力しなければならない。それが出来なかったら後でどんなに後悔しても間に合わない。
22.辛苦を避けず仲間を大事に
辛苦は、人の心を堅固にする。艱難を共に経験してきた仲間達は交友が緊密であり、いつまでもお互い同士忘れることがない。
23.「不得意未熟」は不幸に非ず
得意が多く不得意が少ないと真剣に取組まず思慮分別不足になる。反対に得意が少なく不得意が多いと失敗しない様注意するから思慮分別が豊かになる。この方が幸せというものだ。
24.信用を得るには
人の信用を得るのは困難。人は言葉を信じず、その行いを信じる。行いよりその人の心を信じる。だから信用を得る事は簡単ではない。
25.伸びる後悔、滅びる後悔
『悔い』は善悪の分かれ目。立派な人は悔いる事により善に向かうが、小人は悔いて自暴自棄になって悪を後追いする。これを良く見極め悪循環を断切り、志を立てて悔いを従えるよう努めよう。
26.見識の高い人の一言の重み
大きな事ばかり言う者は度量が小さい。威勢の良いことばかり言う者に限って臆病者である。他方発言が控えめで元気でもないが、言葉の含蓄がある人の多くは、見識も高く度量も広い人物である。
27.大事を成し遂げる人
【静】を好み【動】を嫌う者は横着者で臆病者。反対に【動】を好み【静】を嫌う者は、あわて者で軽薄な人間である。控えめで静にも動にも偏らず、軽薄でも臆病でもない人物こそが物事を冷静に処理し、大事を成し遂げることが出来る。
参考:『佐藤一斎言志四録』 山田準/五弓安二郎:著(岩波文庫)
『人の上に立つ人の勉強 佐藤一斎』 坂井昌彦:著(三笠書店)