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エッセイ・コラム

出光佐三氏が嘆く宗家の乱

安藤 英千代

 出光興産は、こういう創業者 出光佐三氏に心酔し 人生の師と仰ぐ社員全員が一丸となり働いてきた100年の歴史を持つ会社です。
 最近石油需要の激減に伴って業界再編が不可避となり、出光経営陣が2年に亘って進めてきた昭和シェルとの合併方針に対して、2016年6月末の株主総会で、突然出光創業家が反対を表明しました。その主張の本心は、「創業家の支配を堅持したい」で、国内の石油需要激減やエネルギー供給体制の再編・強化の国家的使命感や気概は微塵も感じられません。世界が混乱し、経済低迷が20年以上続く現代日本に、出光佐三氏が生涯をかけて取組んだ、「無我無私、国民の為に、戦後日本の復興」は全く眼中にないようです。

 現経営陣は、「骨の髄まで出光魂で、出光らしさを体現する選び抜かれたトップリーダー」です。今回の合併方針も3年以上前から取組み、その経過を公表し、世の中から共感を持って受け止められていますので、創業家の反対表明にも方針は揺るがず、総会後の増資により創業家の拒否権は行使できなくなりました。 創業家の「出光とシェルでは企業文化が違う」は的外れの主張です。既に出光は独自路線から脱却し、2005年に石化ポリマー分野で三井化学(株)と出光で(株)プライムポリマー社を、2006年には石油ガス部門で三菱液化ガス(株)と三菱商事(株)と出光の3社でアストモスエネルギー(株)を設立し、夫々業界トップの販売会社となっているからです。

 この「経営陣と創業家の対立」を、泉下の佐三氏はどう思っておられるのか。恐らくこの事態を最も憤慨し、こう創業家を叱り飛ばされるのではないでしょうか。
 『僕は社員に対して、日本国民の為に死ぬ気で働けといってきたが、会社や資本家(出光家)の為に働けと言ったことはない!石油業界のジリ貧・混乱で一番迷惑するのは国民だ。日本の為になるのなら、昭和シェルだけといわず、コスモ、JX(日石Gr)とだって合併せよ!世界の混乱から日本のエネルギー供給を守れ!日本の為に率先して出光が捨て石になれ!混迷する世界の中で出光の進む道は、これ以外にあるか!』

「子孫に美田を残さず。男は国事に命を懸けるべし」 西郷隆盛

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