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エッセイ・コラム

注連縄(しめなわ)のルーツ

首藤 静夫

 好天に恵まれ初詣の列が長い。順番待ちの間、正殿の注連縄を眺める。
(あれ、注連縄には頭と尻尾がある)
 どうみても蛇だ、しかも2匹が絡んでいる。神社は注連縄、蛇とどんな関係があるのだろう。
 注連縄の起源は古事記に遡るとか。天照大神を再び岩屋に戻さないために岩を縄で囲ったのだと。
 注連縄は、神聖な場所と現世を分ける境であったり、村の入口にあったり、家庭では厄災を防ぐ意味があったりされる。神社は、元来が神宿る巨岩・巨木であった。この岩や木を注連縄で飾ったのだから神社に注連縄はつきものだ。だが蛇はなぜ登場するのか。
 蛇は世界中の神話に登場する。聖なるもの、知恵の神だから神社に祀られても良い訳だ。しかし、蛇でなくて神武東征を佐けた海亀や八咫烏でもよいではないか。
 私の勝手な解釈だが――竜蛇信仰というのがある。先ずは出雲大社、次いで大神神社だ。両社は古より蛇と縁が深い。出雲にはセグロウミヘビという外洋性の蛇が神有祭のころ(11月)、海流に乗って日本海沿岸に押し寄せる。これが出雲における竜蛇信仰の起こりだろう。大神神社は出雲同様に大国主系で、蛇神になった大物主(大国主の魂)で有名だ。
 出雲族は稲作を列島に伝えた弥生系渡来人である。縄文人と融合したり対抗したりして稲作文化を広げていった。その際、藁や麻を用いた縄で、拠点としたい地を囲い込んでいったのではあるまいか。藁で作った蛇には、外洋をわたって列島にたどり着いたものへの郷愁があったのかも知れない。2匹絡んでいるのは子孫繁栄の願いである。

 何かにつけて伊勢神宮の風下におかれる出雲であるが、その本源は深遠なものがあるようだ。とはいえ新年早々乱暴な議論をしかけるつもりはない。まずは清々しい気持ちでお詣りしよう。詣でたのは氏神様の諏訪神社(分社)。御祭神は建御名方神(タケミナカタ)。大国主の長男で、天孫族に負けて信濃に逃げた神・・・・・・、いけない、また議論をふっかけている。

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