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エッセイ・コラム

Go to Travel?!

三春

 この春、「大人の休日倶楽部」のJR北海道5日間フリーパスがコロナで発売中止になった。その埋め合わせか、JR東日本4日間(15270円)と、JR北海道+東日本5日間(26620円)の2種が数か月後に臨時発売された。どちらも新幹線OKの乗り放題である。
 東日本と北海道を5日間で巡るのは厳しいが、東北だけなら4日あれば充分、と思ったらとんでもない! あそこもここもと悩んだ末に、初めての奥入瀬渓流と三陸鉄道、半世紀ぶりの平泉に絞り込んだ。

 1日目。東京発09:08の新幹線「はやぶさ11号」でまずは八戸を目指す。駅前の「いかめしや烹(ほう)鱗(りん)」で貝の味噌焼とせんべい汁で昼食、バスに揺られて15:30奥入瀬渓流ホテルに到着する。奥入瀬渓流の宿の選択肢は2つだけ、大衆食堂2階の民宿か、それとも少々高級なこのホテルか。となれば中小零細のぼやきに耳を貸すことなく、GoTo割引に背中を押されて太っ腹でいこうじゃないの。夕食には青森りんごを活かした独創的な料理が目白押し、食後は渓流に生息する数百種の苔についてレクチャーを受ける。

 2日目。テラスでの優雅な朝食を楽しんだらいよいよ渓流沿い散策に出発。木洩れ日を縫うせせらぎの音や野鳥のさえずりに心をあずける。渓流釣りやサイクリングも悪くないがそれにはもう一泊必要だろう。「阿修羅の流れ」で折り返して「雲井の滝」からバスで2時間、薄暮の八戸駅と再会する。駅直結のJRホテルに荷物を放り出し、漁師の居酒屋「浜小屋」でまったり。

 3日目。一番人気の駅弁「こぼれイクラととろサーモン」を抱えて久慈へ。三陸鉄道リアス線は久慈から宮古まで18駅2時間弱、入り組んだ海岸線や奇岩に目を奪われつつ駅弁を頬張る。宮古で乗り換えて三陸トレインで盛岡、更に新幹線で一ノ関へとひたすら走り続け、夕闇迫る一ノ関にようやく辿り着く。日本酒50種以上が自慢の居酒屋「喜の川」で海の幸を堪能し、ビジネスホテルで爆睡。

 4日目。平泉の目玉は中尊寺金色堂だけではない。古民家の「地水庵」で古いジャズを相手に手打ち蕎麦をすすれば世の喧騒をしばし忘れる。シメは仙台途中下車、厚切り牛たんと地酒“DATE SEVEN”(仙台といえば伊達政宗と七夕!)で浮世を思い出したらあとは東京まっしぐら。

 さてもさても、こはいかなりし事ぞ、GoToは東京除外だって?! PCと何日も睨めっこして作り上げたこの壮大な行程表をどうしてくれる!

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