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何でも読もう会

『北越雪譜』(Introduction)

斉藤 征雄

本の紹介

 江戸後期における越後魚沼の雪国の生活や自然を紹介した本。著者は、現在の魚沼市塩沢の縮布仲買商、鈴木牧之。
 牧之は、江戸の山東京伝、滝沢馬琴などと交遊、彼らの援助の下に江戸の版元文渓堂から、初編上中下三冊、二編春夏秋冬四冊、計七冊を出版した。

あらすじ、作品の背景、読後感想など自由記述

 第2回目以降、大月チューターの下で本文を読む予定。
 今回は「解説」(岡田武松)、「北越雪譜のこと」(益田勝美)を中心にIntroduction。

  1. 『北越雪譜』の著者、鈴木牧之について
     牧之は、商人でありながら幼少より鋭敏で、漢学、俳句、画才に富んだ文化人だった。そして江戸の文化人とも深い交流があった。最大の特徴は、一流の文化人でありながら、豪雪地帯に根を下ろした在地者であったこと。
  2. 牧之が『北越雪譜』を書いた動機は何か
     雪が降らない暖国の人には、雪は楽しみであり風流であっても、雪国の人間には、ただの苦しみの種。それを江戸の人に知ってもらいたいという思い。
  3. 『北越雪譜』の内容について
     全編を通じて「雪にまつわる生活や文化の様子」を淡々と述べている。
     文化人牧之の目と、正確な表現力によって、雪国人の「愚直」を言葉にしたのが『北越雪譜』の世界といえる。
  4. その他
     同時代に、菅江真澄がいる。真澄は漂泊者の目、牧之は在地者の目、しかしある意味で共通点があるのかも。(斉藤)
読もう会での議論
  1. ①出席者(13名)のほとんどが何らかの「雪国」体験あり。
    各人の体験談披露でしばし盛り上がった。
    中には、塩沢スキー場オープンのS27年にスキーに行った人も。
    雁木の話、屋根勾配の話、降雪と地形、雪の生活の面白さ等それぞれお得意の雪談義に。
  2. ②イントロで紹介された雪国の「愚直さ」を考えつつ読みたい。
    愚直をどうとらえたら良いか ――雪国人の特質について考えたい
     実直、ひたすら、誠実、真面目・・「愚」よりも「直」に重心がある
    雪国生活の厳しさだけでなく、優れた面にも着眼していこう
  3. ③「雪国物」が江戸でなぜ評判を呼んだのか
    江戸庶民文化の発展と物珍しさへの期待
    ある種の旅行ブームとの関係
    江戸文芸の庶民化、低俗化、マスメディア化、など種々の背景

次回から数回にわたり、本編を読む。
 5月:初編上の巻(大月チューター)(首藤)

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