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何でも読もう会

『偸盗』(ちゅうとう)(全編)

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(本の紹介)

1917/4,7 作者25歳の時の作品。『羅生門』の続編とも。 作者得意の王朝物の一つ。平安時代のあれ果てた京の町と、今日をどのように生き延びるかという最末端の人々。ある夜盗一味が物語の中心だ。美貌だが残忍な女首領・沙金とそれを取巻く盗人連中が織りなす愛憎、嫉妬、奸計そして人間愛――。
作者が気に入らなかった作品といわれてきたが、ファンも多い。物語の背景である王都の凄まじい荒廃ぶりをリアルに描写しているのも作者ならではだ。

(討論)

作品の主題は何か? を巡り、議論が沸騰しました。下手に整理するよりも、そのまま載せるので議論の雰囲気を味わってください。

N:
これは人間の感情の縮図だと思う。
M:
好きでない。主題がぼけている。
S:
男はこんなに悪くなれない。
Ni:
人間の愛がテーマじゃないの? 色々のかたちの愛が出てきていると思う。
S:
人間はそんなには悪くなれないがテーマじゃないの?
H:
最後は兄弟愛の方が男女愛よりも勝ると作者は言いたい訳? こんなんじゃ主題がないじゃないか。
M:
同感!
N:
太郎の一途な思いが怖かった。怖いが人間らしい。人間の性善説を書いていると思う。
No:
いや、逆だ。人間のすべての悪を書いている。
S:
人間は状況次第でどちらにも変わりうると言っているのでは。
F:
理性的になって終わる――救いではないですか。
H:
最後が甘い、芥川的でない。
I:
沙金の魔性だけがメーンで他はつけたしの感じだね。
Ni:
話はかわるけど、作品に登場する動物を数えてみた。全部で55種類、植物は18種類。
こんな工夫もして京の町のリアルな感じを出している。動きもビビッドだ。
Si:
作者はいわば上流の人で下層の暮らし向き、感情を知らないと思う。だから下々の世界を描くと劣る気がする。分かっていない部分ではないか。この作品も最後は大活劇で終わるよね。
Ma:
カルメン的(沙金)との印象をある解説でみてなるほどと思った。

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