『痴人の愛』 谷崎潤一郎
本の紹介
大正13年作の長編小説。作者の代表作の一つ。
真面目な電気技師の独身者・譲治(28歳)とカフェーの女給見習ナオミ(15歳)の何とも不可思議な男女関係の物語。年齢の大きく離れた、人付き合いの下手な、田舎者上がりの譲治は、ペットのようにナオミを可愛がり、上手に育てあげた暁には自分の妻にしたいと思って引き取った。しかし、同居生活で年を重ねるうちにナオミの中に眠っていた小悪魔的才能が次第に開花、逆にナオミという女の魔力にとりつかれてしまう物語。
読後感想、討論
- 「痴人」は両方か、譲治だけかで一議論あり
- 破滅近くになりながらも手放せない。女の何なんだ。
- ナオミは譲治が作りだした女。ナオミをけなすのはお門違い
- これは悲劇ではない。悲劇で終わっていない。こういう夫婦もあるよ、といっている訳で、めくじらたてても仕方ない。
- 作者は耽美主義者。男目線でいろいろと見まわしている。
- ナオミは自然児、当時の社会、自分の出自からすると男出入りが不謹慎に出鱈目と思っていないのでは。
- 映画でもありそうなパターンだと思う。
- ナオミのように主導権を取って、いい生活をしたいという例は結構ある。欧米時代にもこういうマダムを見てきた。
ただ、読み手側の年齢が上がっていたため、今一つの盛り上がりに欠けた。