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何でも読もう会

『阿房列車』 内田百閒

野瀬、大月

本の紹介
  • 内田百閒は漱石の弟子。岡山の造り酒屋の1人息子だが、父親の代で傾いた。
    奔放な生活ぶりで、いつも借金に追われ、「金借り」の名人だったとか。漱石先生も面倒を見たのだろう。酒が好き、鉄道が好き(乗り鉄)で本作品もそれにまつわるもの。
  • 本作品は昭和20年代の作。各鉄道本線を相棒と巡り、その車中と道中を面白おかしく綴った一種の「ナンセンス小説」で好評を博した。
読後感想・議論
<最初に>
  • Nさんから、紹介と報告。
    登場人物の一覧 名前のつけ方がユニークでここから先ず笑いが。
    難語一覧 辞書で分からない語も。
    登場した飲食物一覧 お酒のいろいろが目立つ。
<内容>

 当読もう会で初の「笑って読める本」。作者=先生と国鉄職員の若者が二人で経巡る道中記。おかしいのは、旅行の目的がまったくなく、ただ鉄道に乗って、車中で飲んで、旅館で飲んで帰る時もまた飲んでというもの。観光や用事がなく、車中と旅館の出来事が軽快、洒脱に語られる。
 所々で作者=先生の意地っ張り、へそ曲がりが出て道中を難しくするが、そこがこの本の読みどころだろう。各人から印象に残った箇所の紹介。
 文体について 漱石の影響が随所にという意見、ナンセンス会話・ナンセンス描写の
 合間にちらりと覗かせる自然描写の巧みさ、などの意見。
 国鉄の料金 Sさんから 東京―大阪 特急はと 一等 片道 3,680円(当時) の紹介。かなり高かったのだ。
 前々回の太宰治『津軽』もよく飲んでいたが、まったくひけを取らない飲みっぷりでした。

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