『小説渋沢栄一』 津本陽
本の紹介
- ご存じ渋沢栄一の一代記。埼玉の農家の息子が明治維新の動乱を経て、日本資本主義の父といわれるほどになった男の全生涯を紹介している。
「小説」とうたっているが、豊富な資料に裏付けられた労作といえる。
読後感想・議論
<最初に>
- Mさんから
特に前半が波瀾万丈で面白い。肚のすわった人物像がうかがえて感銘。
Sさんがまとめた「強運を引き寄せてくれた五人」は、その通りと感心した。
<議論>
- はっきりいって城山三郎『勇気堂々』の方が上。(同意見かなり)
- 後半がつまらない。資料が多すぎる。(同意見多い)
- 元ビジネスマンとしては、後半の方がためになったとの声も。
- 小説らしくない、事実に裏打ちは結構だが、登場人物の人間味が薄い。
- 書かれていないが、主人公の母堂が偉かった。ハンセン氏病患者への接し方など、埼玉の記念館を訪れてみてよく分かった。
- スエズ運河の建設を民間資本がやっているのに感銘を受けたところはいいね。
- ソロバン勘定が不得手な武士階級にとって、彼のような才能・経験の持ち主は貴重だったと思う。