『女たちの審判』紺野仲右ヱ門
本の紹介
紺野仲右ヱ門 著 (紺野慎吾・真美子夫妻の共著)
- 2015年発表
- 第6回日経小説大賞受賞作
- 幼なじみの同級生を誘拐、撲殺したあと身代金を要求した21歳の犯人は死刑を求刑され、その通りの判決が下る。死刑執行までの拘置所、刑務所の状況、刑務官同士の複雑な人間関係、死刑囚と刑務官、死刑囚と家族との心情が語られる。
- 4章から成るが、章ごとに主人公が変わり、最後には全員が顔を合わせるという構成。
- 作者紺野慎吾・真美子夫妻は、夫は元法務省矯正局で心理研究職、夫人は刑務官として5年勤務していた。
鑑賞
- ①小説かドキュメンタリーか
ドキュメンタリーそのものではないが、そう思って読んだ方が面白いとする意見が多かった。小説とするには欠点が多すぎる、として沢山の指摘があった。
・登場人物が多すぎる
・不必要な登場人物と不必要なエピソード
・感情移入できる人物がいない
・最後の全員集合はサスペンスドラマだ 等 - ②拘置所内部の実態と人間関係の描写がリアルで迫力
・ハト行為(信書を闇で受刑者に取り次ぐ行為)
・刑務官同士のパワハラと暴力行為
・死刑執行担当を免れるためのワイロ 等 - ③文体の評価は低い
・会話体が多く、脈絡がつかめない
・もっと丁寧な説明を 等 - ④「女たちの審判」――題名であり、最終章のタイトルでもある――が何を意味しているかで色々の意見が出された。