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何でも読もう会

『マチネの終わりに』平野啓一郎

首藤 静夫

本の紹介

 2015/3 ~2016/1 毎日新聞及びnoteに連載。2016/1 初版
 作者は現役世代を表する小説家の一人。1975年生まれ。
 40歳前半の男女ラブロマンス。若い時からクラシッギターの天才と賞賛されている蒔野聡史とパリを本拠の国際ジャーナスト、小峰洋子。感性、知性にあふれた二人だが、40代という人生の転機が訪れている。その二人が蒔野のコンサートで出会った。 たった一度の軽い出会いなのにお互いに忘れられない存在になり……。

鑑賞
  • 全体の印象
    1. ・Ni 本だけでなく映画も見た。福山雅治と石田ゆり子が主演。
         本屋大賞の『革命前夜』須賀しのぶ著と一部似ている。
    2. ・M 「アランフェス協奏曲」から引き込まれた。
         今どきの恋愛小説? と思って読み始めたが、面白く読めた。
    3. ・N  前半は進まなかったが、恋敵の早苗が出てきて面白くなった。
    4. ・Ni 小道具の携帯電話がユニークだ。今は、気持ちのすれ違いや憶測がない時代
         だから、恋ものは難しいよね、それで携帯を落とす、という仕掛けが面白    い。
  • 蒔野、洋子、早苗の三角関係
    1. ・知性豊かで良くも悪くも「翔んでる」洋子、蒔野の脇役に徹することに喜びを感じ、生活力旺盛な早苗、二人の対比が主たる構図だろう
    2. ・キリスト、マリア、マルタの挿話が出てくるがピンとこない。
  • 早苗の「嘘」をどう思うか。
    1. ・女性陣は早苗に同情的、男性陣は厳しかった。
    2. ・早苗が蒔野に嘘を告白する場面は、あとで作者が追加したのだろう(男性)。
  • 洋子論
    1. ・蒔野に振られたと思った洋子が、自ら婚約解消を申し出たリチャードと寄りを戻す
      →ご都合主義ではないのか(男性)
      →いえ、ありうること。リチャードの家族も温かかったし。
    2. ・結婚後、君は冷たい女だ、と夫のリチャードに非難される洋子
      そこが蒔野が逆に好きな部分だろうから、男二人で価値観が異なる。
  • イラクからパリへの亡命女性ジャジーラの存在
    1.  二人の愛の成就の障壁という見方、二人の温かさをより高め認め合う機会になった、それにしてもしつこく出てくるな、とさまざま。
  • 二人は結婚するか
    1.  女性陣 結婚しないで親密な親友づきあい(女性陣)
      蒔野が早苗に離婚を言い出すか別居となり、夜叉となった早苗の復讐が始まる。
      など、勝手な意見がでました。
  • 全体を通して
    1.  理が勝ちすぎているか。余りに白黒をはっきりさせると数学の証明のようになる。
      曖昧さは一定部分あったほうが読者の領域が広がる。      以上

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