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サロン21

第一回議事録:日本らしさへのこだわり(プレゼン;森田晃司)

A.配信済みの資料に基づき、森田より30分間にわたって、

  1. 日本文化の特色
  2. 日本の文化はすべて外来なのか
  3. 独自の文化を保持する必要があるのか

についての趣旨の説明があった。

B.引き続き参会者の間で1時間半にわたって自由な討議が行われた。

1.日本文化の特色について10分野が取り上げられたが、以下の視点・分野が抜けているのではないか。
死の世界・敗者の世界と生の世界・勝者の世界とを併せ持つ二重の死生観。
権力と権威の二重構造性。
土地の所有権がいわく言い難い状況にあった(土地の私有が認められるのは明治以降)。
水上・陸上の交通システムがハード・ソフトとも極めて発達していた。
江戸時代には意識的に文明進歩をとめた。→(関孝和のような数学者も出たが、軍事・科学技術で欧米に後れを取ることとなった)

2.討議された主たる論点は以下の通り。
地勢的特色は与えられたもので、選べるものではないが、極めて重要で、これが日本語以下の全ての特色を生みだしたのではないか。
四囲を海に囲まれていた地勢は必ずしも閉鎖的なものではなく、海上を自由に航行できた。閉鎖的になったのは江戸時代以降ではないか。→江戸時代は、後ろ向きにとらえるべきではなく、自給自足の理想の社会を実現していたのではないか。→ドナルド・キーンは、鎖国があったがゆえに日本文化が熟成することができたとし、そこで生まれた江戸の町民文化を高く評価するが、司馬遼太郎は鎖国の閉鎖性が出て西洋の科学技術の発展から取り残されたと見る。

和をもって貴しとするのは日本の美徳だが、異なる意見を言うと村八分に合う負の面もある。→日本文化の特色は確かにあるが、良い面と悪い面がある。特色を批判的に見る目ももたねばならない。
狩猟文化ではなく、農耕文化から生まれた村社会、定住社会の長所と欠点がある。

物作りを尊重する特色は重要で、日本が生きて行くためには今後も維持して行かねばならない。

一神教のごとく自然崇拝を排除したりせずに、山川草木悉皆成仏という思想に昇華した宗教が大事な特色。
どの特色は守り、どの特色は消えてもやむを得ないとするのか、選別する必要があるのではないか→文化は各分野が重なり合っており、項目ごとの議論はすべきではない。
良い特色は残り、時代に合わないものは消えてゆくからレッセフェールで良いのではないか→欧米が世界標準を押し付けてくるグローバリズムの時代には、レッセフェールでは日本の特色は失われてしまう。→意識して守るべきもの、例えば言葉、もある。

日本の最大の特色は美しい自然にある。都会の若者をどうやって地方に取り戻して自然を守っていくかが最も重要。

日本には科学精神が欠如しているのか。
歴史をもっと客観的にみる必要がある。

今日、議論しているような日本の文化の特色は山川出版の教科書には全く載っていない→世田谷区の小中学校では国語とは別に「日本語」という教科が設けられ、古文・漢文などを通じて日本語の美しさを教える授業を始めている。

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