第三回 グローバル大競争と企業のあり方
平成25年6月18日
1.配信済みの資料に基づき、山縣正靖さんから下記の項目に沿ったプレゼンテーションがありました。
問題提起
このところの日本経済の苦境
アベノミクスの第三の矢 日本再生戦略
サロン21における日本企業の再生戦略の検討
日本経済に危機をもたらしているグローバル競争
グローバル競争に勝ち抜いていくために各企業、各産業とも世界経済の急速な変化に対応できずに停滞してきた不振の現状の徹底分析、それに基づく再生戦略の策定が必須であることなどをご説明いただきました。特に再生戦略の策定と実行については予野党などの立場を超えた国民戦線の形成が必要ではないかといった提言がありました。
2.続いて参会者より下記のごとき活発な意見の交換がありました。
アベノミクスは閉塞感を打ち破る効果があった。
日本全体にやる気が欠如している。意識のパラダイムシフトが必要で、そのためには経済・金融一辺倒でない施策が必要である。
アベノミクスの是非などに拘らずに、長期的な視点に立った議論をすべきで、国の目指すべき方向を踏まえた上で経済のあり方も考えるべきである。
高度成長は戻らないし、GDP大国の復活や全産業が競争優位というのも期待しがたい。したがって高付加価値でニッチな分野に集中すべきである。
日本の立ち位置を考えるのが先で、その後にグローバル大競争への対処の仕方が来る。
経団連や大企業は何でも政府のせいにするが、夢と知恵をもって自ら難局を打破すべき。円高でだめな企業はつぶせばよい、その環境下で新企業が出てくる。
政府が新産業を育成するというのは大それたことで、政府は適正な規制緩和を行えば充分で、新しい産業は民間が考えるべきである。
規制緩和は大企業の都合に合わせてその是非が決定される傾向にあるが、公益に即した緩和が実行されるべきである。
大企業は、しばしば中小企業の育んだ新産業・新技術の芽をつぶしている。
高度成長の終わったグローバル競争で勝ち抜くためには、「自己責任、国際化、節約」の三つがキーワードになる。
アングロサクソンの言説を盲信する必要はない。日本古来の価値観に自信を持つべきで、ガラパゴス化を否定し過ぎるとベンチャーは育たない。
不採算部門を整理したことが現行の不況につながっている。不採算の苦しみの中から新しい知恵や産業が湧いてくる。
商社は失われた20年の間に力をつけた。
日本には国際比較で長寿企業が圧倒的に多いなどのさまざまな特長がある。ジャパニーズスタンダードをもっと尊重すべきである。
日本人はまじめで勤勉だが、船長が不足している。
中間層は日本が上だが、エリートの質と働きぶりは欧米がはるかに優れている。
MITIは70年代には力強い船長だった。
アジアのオーナー社長は日本のサラリーマン社長と比して意欲とスピードが決定的に違う。
価格、製品開発力で劣っている。高度成長期は物があれば売れたが、今は多様な需要に合わせた物作りが求められる。しかし、日本のマーケッティングは社内向きで需要に向き合っていない。
中韓の進出してきた産業からは撤退する、などの思い切りも必要である。
政治と経済は違うので混同してはならない。
政治・政治家がもっと敬われる世の中にならないと国の発展は期し難い。
3.広範なテーマで多様な意見が出され、議論を尽くしたとは言い難いが、下記のごとき基本的認識においては参会者の見解はおおむね一致した。
長期的な視野に立って国の目指すべき方向を定め、企業のあり方はその方向に即して考えられるべきである。
グローバル大競争に勝てる大企業とそれを支える多様な中小企業の両者が必要である。
その際、過去の成功体験に驕り、制度疲労を起こしている経団連・大企業はまっとうなリーダーシップのとれる体制に即刻刷新すべきである。
日本の風土と伝統に根付いた多様な技術を持つ中小企業は日本の生命線で、こうした中小企業の健全な活動が阻害されない環境を確保して行くことが最も重要な施策である。
以上