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サロン21

第四回議事録 「食の自給」

 第四回は「食の自給」をテーマに7月16日14:00-17:00に開催。見学者の首藤静夫さんを含めて19名が参加して行われた。

1.最初に大平忠さんから、配信済みの資料に基づき、
作業1;スーパー観察記
作業2;農業の推移と現状(農水省発表数字から)
作業3;農村の推移と現状
作業4;日本の農政の歴史
作業5;食の外部化
作業6;食料・食品の廃棄
という順序で多様な側面から日本の食の状況に関しての詳細な説明があり、更に、今後のあり方として、
検地を軸とした平成の農政改革、
カロリー自給率に代る指標
食料の安全保障
健康な食事の運動
食料・食品の廃棄リデュース運動
という五つの提言があった。

2.参会者から以下のごとき活発な意見が出された。

 食の自給の是非を問うこと自体がもはや時代錯誤ではないのか。食料も将来は工業製品のようになる。
 カロリー自給率は40%以下だが、農業生産額の自給率は69%(2010年)と高い。一部で意識的に危機意識をあおっているだけで、深刻な問題ではないのではないか。
 食の海外からの調達は資金力があれば可能。米国などの輸出国としっかりとした関係を築くべきだ。
 農業生産は気候などの自然要因に左右される、世界的な食糧危機も考慮しておくべきだ。
 食の自給の議論は緊急時に絞るべきだ。→米は確保しておくべきだ。
 日本ではカロリーベースでは6割の食品を輸入し、3割以上を無駄に廃棄している。→あまっているから無駄をする。

 TPP交渉では産地を明示しないことが議論されているという情報もある→食の安全が脅かされる。
 米国やタイとの競争力の問題はあっても、米農家は守る必要がある。

 農業問題は実態が把握しづらい→政府や関係者はまとまった信頼できる情報を出すべきだ。
 日本の農政は一票の格差が原因でゆがんでいる。
 全農と農政が日本の農業を悪くした。
 全農は金融と農機具販売が収益源で本来の農作物の販売は衰退している。
 生産者、特に兼業生産者が補助金で甘やかされている。
 減反は諸悪の根源で、生産者の意欲や品種改良などの技術革新を阻んできた。徐々にでもなくして行くべきだ。
 農地の売買や宅地転用などは農業委員会が恣意的な決定をしている。

 肥料・農薬は進歩しており、機械化とも相まって兼業農家でも楽に米作りができる。
 農薬は医薬よりも厳しいテストが課せられており、かつてのように人体に被害を与える恐れはない。
 しかし、田んぼに虫もいない。やはり生命を殺しているのではないか。

 競争力の回復のためには農地の大規模化が必須である、法人の参入も促進すべきだ。
 大規模化には限界があり、米や豪のような規模にはできない→それよりも棚田に代表される小さな農地の伝統的集約農業に磨きをかけるべきだ。
 地方の小さい農業試験場などは少ない予算で地道に頑張っている。
 農協も全農から離脱して地元農村の力になっているものも出始めている。
 国際流通商品のバナナは大手生産者がブランドで販売しているが、日本の食品は産地名で販売している。
 流通を中央卸市場やスーパーが握っており、農家がマーケッティングしていない。
 農業の一次産業からの脱皮、多角化が必要。

 日本は明治以来都会集中、工業化中心だったが、地方に人が行くべきで、地方帰りの時代だ。→地方に帰る若者が出始めている。
 農村は歴史的に保守的で、自主的な改革は望みがたい→外圧などを上手に使えば、農村は必要な変化に順応する能力はある。
 食は文化。諸外国同様に、例えば地産地消を実践する料理人がもっと尊ばれるような社会にすべきだ。
 食の自給は日本のあるべき姿から考えて行く必要がある。日本の自然、水田、風景、里山、緑を残すのかという観点が必要である。

 若い人を農村に引きつける施策が必要→家や土地、農機具などを貸与する農村も出始めている。
 安全保障、農村の人口減少、農業のイノベーションがこれからの農業を考える上でのキーワードだ。
 都会ほど安く食えるというのが実感だ。
 選挙民は、衆議院は生産者、参議院は消費者の立場で投票すべきだ。

 食料生産に適した風土を有効に活用して、安全保障、食の安全にも留意しながら、日本が食の自給を図るのは当然の責務である。
 日米政府の政策による洋食化が、自給率減退の大きな原因となった→米を中心とした伝統食に回帰すべきである→これが日本の文化を守ることにもなる。
 農村・農民が農業を誇りと思えるようなパラダイムシフトを、消費者を含めた国民全体で行う必要がある。

以上

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