第五回議事録 「少子高齢化・年金・保険・医療制度」
平成25年9月17日
1.添付した資料に基づき、野瀬隆平さんから下記項目についてのプレゼンテーションがあり、引き続き各項目ごとに質疑を行った。
- ①日本の人口が歴史的に見て、どのように推移して来たか。
- ②人口変動の要因
社会の発展過程との関係 - ③世界の最先端を行く日本の人口動態
- ④世界の主要国との比較
先進国の中でも微妙な差
発展途上国(インド、アフリカなど) - ⑤人口、少子化と高齢化関連の定義
人口、総人口
高齢化社会、高齢社会
少子化
出産率、出生率、特殊合計出生率
生産年齢人口
従属人口数(生産年齢人口に対する比率) - ⑥少子高齢社会のプラス面とマイナス面(国民経済の観点より)
- ⑦人口構成に合った制度設計
医療
社会保障 - ⑧長寿社会で考えること
2.各項目に対して16名の主席者からは下記のごとき意見が出された。
- ①添付のグラフでは2100年の日本の人口は4千万人台になっているが、これは非現実的。8千万から1億人の間で落ち着くのではないか。
江戸時代後半は3千万人台で落ち着いているが、これを停滞と見るべきではない。むしろ、社会は安定し文化的にも成熟した時代だ。 - ②女性の社会進出を支える子育て支援策が遅れている。
女性の生殖力が生物学的にも、社会環境上も衰えてきている。
婚外子への対応、移民受け入れの是非なども検討されるべきだ。
社会全体で子育てをする社会の絆、共同体の再構築も考えるべきだ。 - ③当面の人口減少は避けられないが、問われるのは量より質だ。その意味でも教育が重要だ。
- ④食料や医療・衛生事情により各国の状況は大きく相違している。
- ⑤女性の管理者が少なく、今後さらに社会進出は増えるのではないか。
“働く”概念が外に出てお金を稼ぐ意味になっているが、女性の出産、子育ては何物にもまして重要な“働き”。
高齢者が料理や家事をして自活するのも立派な“働き”。
今の高齢者はよく働き日本を一流国に育て、社会インフラも整備した。次世代に残すのは借金ばかりではない。 - ⑥人口は社会・経済の最も重要なインフラだ。人口減少は経済縮小、国力の衰えをもたらす。人口減少は阻止すべき。
目指すべきは大国か、あるいはスイス型の小国か。
重要なのは一人当りのGDPで、高い国は小国に多い。
国全体のGDPが落ちると国力の低下をもたらし、外交・防衛・財政などあらゆる分野に支障をきたす。
各国がGDPの拡大、経済成長を目指し続ければ、国際間の争いは激化するばかり。経済成長神話の呪縛から解放されるパラダイムシフトが必要。 - ⑦過度の福祉政策により、働かないもの、高齢者などへの援助が度を過ぎている。年金は積立方式を厳守するなど、“自ら助くるものを助く”制度に設計変更すべきだ。
- ⑧単なる長生きではなくて、健康で自立した長寿を目指すべきだ。
料理を習う男性高齢者が増えてきている。
男は女に比べて近所付き合いが少なく、挨拶も下手だ。
3.今後数十年の間、日本の人口減少は避けられないという認識は出席者の間で一致した。経済縮小、国力衰退を招くので政策を動員して断固減少を阻止すべきという意見と、むしろこれを奇貨としてプラス面に目を向けよう、または成長一辺倒の価値観を見直す機会と捉えようという両者の意見に分かれた。
「人口」は国の目指すべき方向を根底において規定するテーマであり、今後とも引き続いて討議して行くこととした。
以上