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サロン21

第八回 議事録「憲法改正の是非」

平成25年12月17日

1.最初に上田さんから配信済みの資料とレジメに基づいて、下記のごとくに問題点を的確に整理したご説明があった。

  • ①憲法改正の是非の背景
    憲法成立時:押し付けと言われるが手続きは法にのっとり行われた。
    施行されてから一度も改正されていない:諸外国は柔軟に改正している。
    改正手続において憲法96条、98条の壁がある。
  • ②憲法改正の具体的事項
    平和主義の問題点
    平等主義の問題点
    基本的人権による問題点
    地方自治
    天皇制
  • ③憲法の法解釈という運用と限界
    世界情勢の変化に憲法はついていけなくなっている。
  • ④法の支配と国の信用
    占領下であろうと法の理想は大切にしたい。
  • ⑤今こそ国民的総意で憲法問題を考えなくてはならない。時間は十分あると思われる。
    憲法改正には覚悟が必要である。投票の結果については潔く従うべきである。

2.引き続き参加者19名による自由な討議に入り、下記のごとき意見が述べられた。

  • 日本国憲法は、明らかに米国に押し付けられたものである。昭和21年にマッカーサーがGHQのホイットニー局長以下25人に急ぎ作成を命じたものが原案になっている。憲法学者はおらず、理想主義者が多く、数名の共産主義者が居たことも後のアメリカ機密文書の公開により明らかになっている。
  • 成立のいきさつよりも内容が大事。内容が良ければ問題ない。
  • 憲法の前文は美文で評価高い。
  • 憲法前文は国民の権利ばかりが強調され義務についての記述がない。
  • フランス革命、米国独立宣言を訳しただけで内容に乏しい。
  • 前文は非現実的な内容であり、国の防衛を他国任せにしている無責任な内容→この前文と第9條は、日本人の精神を堕落させモラルなき国民を作り出してきた根源となった。
  • 憲法も法もその国の風土に合ったものであるべき。
    伊藤博文は明治憲法の作成に当たって欧米の憲法を研究し、各国がそれぞれの歴史と文化を踏まえて国状に合った憲法を作っていることを学んでいた。
  • マグナカルタに見るごとく、西欧ではもともと憲法は国民が国家権力を縛るために作られてきたという経緯があった。
  • 改正の発議には国会議員総数の三分の二以上の賛成が必要だが、米国を始め他国にも同様の規則が見られ、必ずしも厳しすぎる条件ではない。
  • 日本では不磨の大典になっているが、外国では必要に応じて変えている。
    憲法は人間がつくったものなのになぜ変えてはいけないのか。時代と共に変えるべき。
  • 改正には日本人自体の意識が高まる必要がある。
  • 憲法の理想と現実の乖離が大きすぎる、解釈の変更だけでごまかしてもやがて行き詰る。子どもたちにも説明できない。
  • 憲法は解釈運用でよいのではないか。それよりも、尖閣防衛の具体策を考える方が重要。
  • 今、憲法を改正すれば世界中から批判を受ける。世界を敵にするよりも、当面時期を見た方がよい。→そう言いつつ今日まで来てしまった。今やらずに、いつ好機が来るのか。
    次の世代に押し付けてはいけない。
    諸外国がどうであれ、日本人が望むなら改正すべき。
    海外の反響を気にするより、国内でもっとよく議論すべき。
    今の改正の動きは米国から来ているのではないか。
  • 尖閣防衛に米国は及び腰である。
    尖閣の動きから、中国は対日戦を考えている。上陸させないことが大事だ。
    尖閣の問題で憲法の是非を考える若者が増えてきている。
    戦後の最大の恩恵は民主主義。ただ平和ボケで目覚めるのは外圧だけ。→中国が目覚めさせてくれている。
  • 戦後の経済発展にはこの平和憲法でよかった。
  • 三国同盟を結んでいた独伊には徴兵制があるのに、なぜ日本だけが軍隊アレルギーになったのか。非キリスト教文明の日本だけが骨抜きにされたのか。
    連合国は日本から牙を抜く方策を探していたこと、さらに、天皇制を維持するための方策として世界の世論を納得させるためもあり、武力放棄を思いついた。本来、軍隊なき国家など考えられない。
  • 改正反対派は政府を信用していない。(イデオロギーからくる反対派とは別な人たちがいる)
    日本民族は純潔で一つになりやすいので軍備を持つと危ない。太平洋戦争の繰り返しが恐い。秘密保護法の成立、NSCの創設など恐ろしい動きだ。
    三百万人が死んだ太平洋戦争の悲惨さは骨身に沁みた。その経験者は奴隷になってでも戦争をしたくないという理屈抜きの感情を持っている。
  • 日本人はナイーブ。共産主義の虐殺は何千万単位である。
  • 世界の軍事費市場規模は130兆円。米国55兆円、中国10兆円、あとはロシア、英独仏、日本が5兆円前後。ただし軍事力評価では日本は17位で低い。
  • 日本では国家のあり方や憲法を論議することがタブー視されてきたが、南ベトナム出身者などと接すると国をなくす衝撃の大きさがよくわかる→しかし、ベトナムは再統一されたのであって国がなくなったわけではない。
  • 憲法には日本の独自性、例えば聖徳太子、五カ条のご誓文から連綿と伝わる和を尊ぶ精神、家族を重んじる心などを織り込むべきである。また、核をどう取り扱うかの問題も明記すべきである。
  • 我が子は憲法に関心がない、孫も学校で教わっておらずたるみ切っている。
    これは我々自身の責任でもあり忸怩たる思いだが、18歳で自衛隊に入れるなど幅の広いアプローチで叩き直すべき。
    国全体に筋が通っていない、行き過ぎた平等主義などのゆとり教育で国に対する思いがなく、国を守る姿勢もない。修身のような教育を行うべき。
  • 領土問題は他国におもねり後退ばかり続けてきた。尖閣も1992年に中国が勝手に「領海法」を制定したのに対し、中国に配慮して口頭で抗議しただけであった。他国の顔色ばかり覗ってきたが、守りぬく準備が必要で金だけで片付くものではない。
  • 世界のどの国もエゴの塊で、抑止力は持たねばならない。
    有事条項もなく、有事の際には自衛隊も機動的に動かせない憲法である。
  • 憲法は国民の権利を保障しているが、基本的人権が拡大している。
    自由及び権利には義務と責任が伴うことを忘れてはならない。西欧と異なり日本では、自由と権利は自ら血を流して獲得したわけではなく、義務と責任の意識が希薄である。
  • ローマの属国には、税金を払って防衛はローマに委ねるという非武装の国もあった。いろんな歴史を勉強する必要がある。
  • 軍隊を海外派遣しないという日本の独自性を打ち出せないか。
    イラクのクエート侵攻の際に資金提供のみで軍隊を派遣しなかった日本は欧米ではまともに相手にしてもらえなかった。→クエートは日本に全く感謝せず、大金の無駄使いだった。→次の小泉政権では自衛隊を派遣した。
  • 徴兵制は若者の精神をたたき直すのが目的なら適当でなく、他の手段にすべきだ。また、2年程度の訓練では玉よけにしかならない。
  • 日本の三権分立は怪しい。一票の格差、財政規律など憲法が軽視されているのではないか。
  • 国民はまじめだが、国はいい加減である。
  • 世界の世論調査では日本だけが異質な結果が出る。日本人は自らが異質であることをよく認識すべきだ。

コミンテルンの影響は大正時代から強かった。昭和4年の世界恐慌により各国ともインテリの左翼化は進んだ。我が国では、治安維持法により弾圧された。しかし、戦後に蘇り岩波、朝日、NHKを始めとして言論界は左翼イデオロギーに占拠され未だ残存している。学校では近現代史を教えず、憲法改正論議などはタブーだったが、今後は歴史、憲法についてはあらゆる機会をとらえて議論し、勉強して行くべきである。

3.日本国憲法は現実との乖離が拡大し、解釈変更の運用では行き詰るとの認識ではほぼ一致した。
従来、改正論議はタブー視されてきたが、真正面からじっくりと時間をかけて議論すべきとの認識でもほぼ一致した。
また、改正には中韓を始めとして反対する国が出るのは確実で、改正に際して覚悟を持って臨む必要があることでも一致した。

以上

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