「日本の財政と税制」
平成26年9月16日
1. 最初に大泉さんより配信済みの豊富な資料と図表に基づき、日本の財政と税制の問題点につき懇切な説明があった。
バブル崩壊後、社会保障費の急増などにより公債依存度が急激に上昇する一方で、ゼロ成長下での税収の停滞により、歳出と歳入のギャップが広がる鰐の口現象について図表による解説があった。また、財政再建への幾度かの試み、税制改革の動きと挫折などについても丁寧な説明があった。
2.10月に財政問題に関する討議が予定されていることもあり、この日は税制について重点を置いて考えることとし、出席者13名による自由な討議に入り、下記のような意見が出された。
税制は複雑で分かりにくいが、政治との結びつきが強い。利害団体の政治圧力で複雑になる。
租税特別処置法は200以上ある。例外だらけの税法である。
消費税中心の税制が良いが、その場合は逆進性をいかに調整するかが課題となる。
税は貧しい人を助けるためのものである。
日本の所得再分配比率は低い。
格差の固定化を防ぐために、固定資産税や相続税は必要だが、その他は消費税に一本化して、支障があるとは思えない。複雑怪奇な現行の税制は政治家や既得権益者を守るためのものではないか。弱者の保護は財政支出で行えるのではないか。
消費税のアップは消費を冷ます。税率を上げても、結果として税収増につながるか疑問である。
消費が増えないのは、魅力ある商品がないせいである。企業努力が足りない。
良い消費、悪い消費を分けたらよい。酒やたばこは重税にすればよい。
消費税は予定通りにアップして10%にすべきだ。
消費税に頼り過ぎるのはおかしい。クロヨンと言った不公平がなくなるように、もっとしっかり収入の捕捉ができる体制を築くべきだ。
消費税を上げて、法人減税を行うのは消費者から法人に富を移すもので国民に対する欺瞞である。
日本の法人税率は高いが、減価償却が国際標準より多いと思える。両者を良く勘案すべきだ。
国税と地方税は一本化できないか。国税の中から地方交付税を出すのはおかしい。
交付税は地域格差をなくすために必要である→稼いだところが使うべきで、一極集中で構わない。
税は何のために必要なのか、よく考えるべきだ。お上が求めるから払うという態度では、どうにかして免れようとする。
無駄な公務員の整理など率先して行い、無駄のない有効な税金の使い方をすれば、納税者の意識も変わって来る。
米国ではさまざまな形で税の還付があり、還付を得るために皆、心血を注いでいる
江戸時代には四公六民と言われたが、現在はどうか。
25年成長していないのが鰐の口現象の元凶である。
GDPの太宗は消費にある。人口減少などによって消費が停滞していることが最大の問題。
税収が伸びないなら、支出を抑えるべきである。高齢者や弱者の援助もほどほどにすべきである。
国債は安全資産だから皆が買っている。国内で消化されているので破綻の心配はない。
破綻説は10年以上前からあるが、何も起こっていない。
国債が暴落すると銀行が困る→国債の大口保有者は今や民間から日銀に移っているので、銀行はもう困らない。
日本は政府も国民もリッチ。
とはいえ、多額の国債を抱えていると金利が上がれば、その負担は莫大になるリスクを抱えている。
脱デフレで尋常でない金融緩和をやっているが、インフレが心配である。
税制赤字をインフレで抑えるのは副作用があり、限界がある。
円安は危ない。エネルギー輸入コストが上昇し、原発再稼働につながる。
東京都は石原知事の時代からB/Sを出し始めたが、プラスである。
日本国も出し始めたが640兆円の債務超過である。ただし、資産の時価評価は正確ではなさそう。
国の資産には減価償却を見ていない。
日本は安定した国で、チープガバメントでもやって行けるのではないか。
高齢化、自然災害対策、インフラの更新など日本はこれからもっとお金がかかるので、沢山の金は集めておく必要がある。皆が進んで納税するような教育が必要。
25%近かった貯蓄率が40年で3%程度までに落ち込んだ。5-10年、皆で我慢して財政を立て直すべきではないか。
日本は国債や社債の切り替えが容易だが、海外はもっと厳しい可能性がある。
安倍総理は行政改革が念頭に在る筈だが、第一次内閣の時に公務員改革に手をつけて、公務員の激しい抵抗に遭ったので、慎重にやっているのではないか。
安倍総理は国と経済の自立を考えている。
日本は、改革は自分ではできない。IMF管理下ならできるのではないか。
ドッジ勧告やシャープ税制改革は現状にどう影響しているのか。
バブルがはじけた時に、日本は経済戦争に敗れた感じがした。戦後40年経っていたが、40年周期で何かが起こる。
日本が台頭してくると、米国が叩く。
日本は各国から警戒されるほどに優秀だが、奢る悪い癖があって躓く。
3.税は身近な問題でありながら、なかなか全体像がつかみにくい。短時間の議論ではその全体像はつかみきれないが、ブレーンストーミングとして大いに効果があったと言える。今後とも重要課題として勉強を続けていくこととしたい。
以上