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サロン21

サロン21 討論メモ 「魅力あるJAPANを創る ―景観の構造改革」

平成27年2月17日

1.当月は西川武彦さんに、配信済みのレジメと多数の写真を御披露いただきながら、下記項目について分かりやすく解説していただき、また、御自身の経験や活動に基づく景観に関する見解と提言をお聞かせいただいた。
 清潔好きの国民性でありながら、景観に関する意識は欧米に遅れている観のある日本ですが、先年の景観法に続いて、今般、無電柱化法も成立の見込みで、景観の構造改革に向けての基礎は整いつつあり、今後は実現に向けて国民の意識を高めていくことが肝要とのご説明があった。

レジメの項目

  1. ①ちょっと気になる言葉
  2. ②景観問題の個人的背景
  3. ③日本の景観問題―時代の流れと景観の変遷
  4. ④これからの日本はどうなる―景観問題の社会的背景
  5. ⑤これからの景観をどうするー広告看板・幟・標識・電柱・電線・変圧器などを中心に
  6. ⑥そして自分なりに行動を!

2.続いて出席者17名による自由な討論に入り、下記のような意見が出された。

海野宿、上高地、白馬、小布施、小樽、川越など景観を整えることで観光客を呼び込んだ成功例も多い。
欧州では古い建造物の維持、新規建築物の認可制度などを整えて景観の維持に腐心している。
景観の改革には、人間の都合だけに拘らない配慮も必要。
土地の私有は制限すべきだ。国有とすべきだ。
しかし、日本人は土地本位の意識が強く、私権の制限は難しい。
公共の利益と個人の権利とのバランスを考えるべきだ。
東京への一極集中で共同体意識が低くなっている。

 第二次大戦後の都市づくりに失敗した。東京に過度に集中し、爆発的に発展して、計画的な都市づくりができなかった。

大規模店舗が商店街を荒廃させ、景観を破壊している元凶だ。鶴岡、韮崎などはその例だ。
スーパーに追われて商店が消えて行く。商店の保護などの施策が必要ではないか。
電柱を地中に埋めるだけで景観はすっかり変わる。
地中化するには10倍の費用がかかる。費用をどうねん出するのか。
もっと低コストの工事法を開発できるのではないか。
電柱の効用は送電だけでなく、ケーブルテレビ、インターネット通信にも使われていることも忘れてはならない。
現在も地中には色々な管が埋まっているが、管理はどうなっているのか?

パチンコ店を野放しにせず、規制すべきだ。
往来での喫煙も禁止すべきだ。
四国などの田舎でも、美しい景色を台無しにする看板が多数あったり、場違いな建物が無神経に建っている。
嬬恋などで感じるのは、土地の人が素晴らしい景観の有り難さに気がついていないことだ。

日本の家の四分の一は、空き家になっている。少子化で拍車がかかるので、空き家対策の巧拙が景観にも大きく影響する。
古い景観に戻すのが良いとは一概に決めつけられない。スマートシティーなど未来に向けた機能美を求めることも必要だ。

法整備などは整ってきたが、景観の構造改革は、行政がリードすればできるというものではない。
岩切章太郎は交通や観光の事業を通じて、宮崎県の景観の維持と改善に努めた。高い見識と強い意思があれば実行は可能である。

虎ノ門のマッカーサー通りは、東京の新しい景観のモデルになるかもしれない。
丸の内や銀座も電柱がなくすっきりしている。特に丸の内仲通りの景観は素晴らしい。

3. 景観の構造改革の重要性、また、各自が高い意識で取り組む必要性については全員が賛同した。日本は森の維持に成功してきた惟一の先進国であり、江戸の末期や明治の初期に日本を訪れた欧米人は、江戸などの都市や地方の景観の美しさに感嘆していた。本来なら景観大国でしかるべきだが、明治以降の近代化、戦後の行きすぎた個人主義で、景観を荒廃させてしまった。景観は公の財産との意識で、改善に向けて各自がそれぞれに取り組むべきことを再認識した。

以上

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