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サロン21

サロン21 討論メモ 「イスラム国について」

平成27年3月17日

1.当月は横内則之さんに、シリアで起こった日本人人質事件を題材に、頭書について問題提起をしていただきました。配信済みのレジメに沿って下記項目ごとに論点を整理いただきました。日本が世界の安定と平和に寄与すべきことは当然だが、欧米の価値観、欧米経由の情報に一方的に頼るのではなく、独自の情報を充分に収集して適切な対応をとることが肝要である。また、イスラム国は従来の単なるテロ組織とは異なる可能性もあり、その将来性の見極めも重要であるなどの御指摘があった。
 ①安倍総理の中東発言
 ②テロとは何か
 ③国と認められるためには
 ④イスラム国とは
 ⑤人質への対応
 ⑥中東紛争の背景
 ⑦日本の取るべき立場

2.続いて出席者14名による自由な討論に入り、下記のような意見が出された。

安倍発言は、日本がイスラム国と敵対するかの趣があり、慎重さを欠いたのではないか。
日本人全体がテロの対象となりかねず、“君子危うきに近寄らず”で行くべきだ。
欧米と中東の争いに日本がでしゃばることはない。

安倍発言はきっかけを与えることになったかもしれないが、本質的な問題ではない。
人望支援の表明は堂々と行うべきもので、人質事件によって国策が変更されてはならない。
八方美人的な対応に終始するのはもう通用しない。リーダーが覚悟を持って発言、行動して行かないと一流国ではない。
日本は独自の責任ある見解をどんどん発表して行くべきだ。世界の世論を導くくらいの気概でリーダーは望むべきだ。

二人の人質は自ら不用意にイスラム国に侵入しており、自己責任は免れない。
身代金を拒絶したのは当然の対応。

ジャーナリストは危険を冒してよくやっている。後藤さんはアメリカで評価されている→アメリカのイスラム国に対するネガティブキャンペーンに利用されているだけではないのか。

後藤さんはNHKの「クローズアップ現代」、テレ朝の「報道ステーション」と関係が深く、実質的スポンサーだったとの情報もある。自らは危険を避け、こうしたフリージャーナリストを利用しているテレビ局やマスコミの姿勢こそ、その責任を問われるべきだ。

テロとゲリラ、レジスタンスの区別は難しい。
そもそもテロと合法的な戦闘、権力行使を分けるものは何か?
米国のビン・ラディン殺害はテロではないのか。
結局は「力は正義なり」ではないか。
先制攻撃と侵略を分けるものは何か。勝てば先制攻撃、負ければ侵略と非難される。

イスラム国は国会もあり、国である。人口は6百万? CIA調査では軍人は3.5万人。
マーケットもバーチャルになってきているご時世で、国もバーチャルでよいのではないか。→固有の国土のない国などありえない。
イスラムは遊牧の民で国境などなかった。欧米が人種や宗派の違いを無視して国境に押し込んだ。
イスラム世界はコーランとハディース(預言者の言行録)の影響が大きい。
エジプトでは、コーランとハディースを利用して過激な行動を抑えるよう司祭に働きかける動きも出ている。
英国の少女がイスラム国に行く事件も起きたが、欧州に住むイスラム教徒は疎外感が強いのではないか。
植民地の出前と言える。
オーム真理教にも優秀な若者がひかれたが、イスラム国にもそんな魅力があるのか。

イスラム国の幹部はサダム・フセイン時代の法学者、官僚、軍人が中心。
フセインの時代は女性の技術者が活躍したりして、開放的だった。宗派に対しても寛容だった。
クルドとも共存していた。
イスラム国による遺跡の破壊が報じられているが、フセインの時代は保護していた。
ブッシュがスンニ派を弾圧して混乱がました。→米国は、スンニ派主体のフセインを倒し、国民和解の政権樹立を望んだ。ところが、マリキ首相が、スンニ派を追い出して、シーア派中心の政権運営をした為に、混乱が増した。米国は結局、マリキを退陣させた。

イスラム国の資金源は石油、身代金、税金と言われている。
イスラム国は西欧の引いた国境線に拘らない展開を狙っている。
欧米はイスラムの自主解決に任せて、放っておくべきだ。→しかし、現実にはその可能性はない。むしろイスラム国の資金源は欧米で、裏で一層の混乱を画策しているのではないか。
イスラム国の裏にはイスラエルがいるのではないか。

コーランは穏健な日常生活の指南書。過激な人は少ないのに、欧米は都合が悪くなるとイスラムは過激だと非難する。
イスラム国は同じイスラムのシーア派と戦っていては将来がない。

イスラム国はなぜ世界中を敵に回すのか。国際世論の同情と共感を呼ぶ方法をとらないのか→過激な行動をとることで、欧米の弾圧がそこまでひどいと宣伝している。
親族を殺された人々は、欧米に憎しみを持ち、ジハード戦士になっていく。
中東は土漠の風土。人間が住むのは難しい環境。戦わねば生き残れない。
雨量はそこそこあるが、冬に集中。水は本当に貴重。
石油はまさに神からの恵み。その恩恵を一部の王族やメジャーが独り占めにするのは許せない気は理解できる。

3.日本の対応はいかに在るべきかについては、下記のような意見が出された。

中東の混乱は第1次大戦の後始末がいまだに続いている。日本はあまりでしゃばらないほうが良い。
石油の確保は大事だが、事態を荒立てないこと、現状の外交でよいのではないか。
イスラム国の未来が分からないうちは、旗幟鮮明にすべきではない。
石油といえども商品であり、金があれば買える。わざわざ、ホルムズ海峡まで出張る必要はない。

中東の混乱はイスラムとキリストの宗教戦争。日本は仏教と宣言すべき。難民への支援は行っても、有志連合の一員になるのはどうか。対米盲従外交はやめるべき。
エネルギーと食料の確保は必須。ホルムズ海峡が封鎖されては大変なので、利害の一致する中国などとも一緒に中東対策を考えるべきだ。
中東の事情を知らな過ぎる。諜報機関が必要。
イスラム国はテロ行為をしている。有志連合に加担するのはやむを得ない。
イスラム国には深入りしない。人道支援はするが、後方支援(PKFの一部)は、憲法上問題が無いか検討する必要がある。
イスラム国の主張に同情的なマスコミの論評が多いのは問題だ。マスコミはもっと勉強すべきだ。
日本はきっちりと自らの方向性を示すべきだ。
日本は積極的平和外交をしっかり推し進めるべきだ。
日本の外交も覚悟が必要になる。PKOの実施も覚悟が必要、集団的自衛権も正念場を迎える。
PKFは国連承認の活動である。ホルムズ海峡が機雷封鎖されたら日本は積極的に活動すべきだ。機雷掃海技術を持っているのは日本だけである。米国との集団的自衛権で動く場合には慎重な判断が必要となる。
日本は欧米の情報に惑わされずに、独自の諜報活動に基づく中東情勢の的確な判断と適切な行動により、中東各国の信頼を勝ち得て行くべきである。

以上

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