「安倍総理70年談話について」
- 歴史問題についての外務省Q&A
- 村山総理50年談話
(前略)
いま、戦後50周年の節目に当たり、われわれが銘記すべきことは、来し方を訪ねて歴史の教訓に学び、未来を望んで、人類社会の平和と繁栄への道を誤らないことであります。
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。(後略)
小泉総理60年談話
(前略)
また、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表します。悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄に貢献していく決意です。
(後略)
- 安倍総理のこれまでの演説
(1)バンドン会議(4.22)
- ①平和十原則の内の『侵略、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない』、『国際紛争は、平和的手段によって解決する』の二つを引用し、その上で、『バンドンで確認されたこの原則を、日本は先の大戦の深い反省とともにいかなる時でも守り抜く国であろうと誓った。この原則の下に、平和と繁栄を目指すアジア・アフリカ諸国の中で、その先頭に立ちたいと決意した』と述べた。
- ①『植民地支配と侵略』、『心からのお詫び』には言及せず。
(2)米上下院議会演説(4.29)
- ①先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げ、とこしえの、哀悼を表す(和解)。
- ②先の大戦に対する『痛切な反省』を胸に、歩みを刻んだ。みずからの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代首相と全く変わるものではない。
1980年代以降、韓国が、台湾が、ASEAN諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えてきた。 - ③TPPによる永続的な『平和と繁栄の地域』を作り上げていかなければならない。
-
④ASEANの国々や韓国と、多岐にわたる協力を深めていく。
第一に、国家が何かを主張する時は、国際法に基づいてなすこと。
第二に、武力や威嚇は、自己の主張の為に用いないこと。
第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。
その為に、日米同盟を強化する。 -
⑥紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。私達の時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現していく。
私たちは、『国際協調主義に基づく、積極的平和主義』を標榜する。日米同盟は、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。 - ⑦3.11では、私達には、トモダチがいた。
私達の同盟を『希望の同盟』と呼ぼう。
なお、『植民地支配と侵略』、『心からのお詫び』には言及せず。
- 70年談話についての安倍総理の思惑
村山談話、小泉談話、河野談話を基本的に踏襲するとの考えの上で、以下の論点を指示。- ①20世紀の世界と日本の歩みをどう考え、その経験から汲むべき教訓とは何か
- ②戦後日本の平和主義、経済発展、国際貢献をどのように評価するか
- ③戦後70年、アメリカ、オーストラリア、欧州の国々、また中国、韓国を始めとするアジアの国々等と、どのような和解の道を歩んできたか
- ④21世紀のアジアと世界のビジョンをどう描き、日本はどのような貢献をするべきか
- ⑤戦後70周年にあたって日本が取るべき具体的施策はどのようなものか
(参考) 『有識者懇談会』16名
- 西村泰三(座長)
- 日本郵政社長、「新日中友好21世紀委員会」座長
- 北岡伸一(座長代理)
- 国際大学学長、集団的自衛権有識者懇談会の座長代理
- 宮家邦彦
- 元外交官、テロ対策有識者懇談会の座長
- 瀬谷ルミ子
- 日本紛争予防センター理事長
- 古城佳子
- 東大教授、『平和、安全保障研究会』委員 等
- 安倍談話に盛り込むべき要点は何か(私見)
○○年談話とは、先の戦争を踏まえた談話であることが前提となる。-
①歴史認識について(先方にも歩み寄りのシグナルがある)。
- 『先の大戦への痛切な反省』
反省は、再発防止のためで、当然織り込まれるだろう。 - 『植民地支配と侵略』
これは、事実であり、政府の公式見解でもあり、それで中韓が満足するならば入れた方が良い。
安倍首相が言うことに意味があり、それで失うものは何もない。 - 『心からのお詫び』
これも同上。 -
『慰安婦問題』
これは、軍(国)が関与し、それを組織的に利用したことの道義的責任は認めているので、人道的な謝罪と慰謝料(アジア基金の様なもの)の支払いは明言した方が良い。
それを、『普遍的な人道問題』として取り上げれば、韓国、米国も同罪となる。
但し、強制連行(不法行為)による、法的責任と国家賠償は拒否すべき(最近、韓国の女性家族部も、強制連行の証拠はないと言ってるらしい)。
なお、慰安婦問題については、この際、日本政府として、後世に残るように、きっちりと実態解明と総括をしておいた方が良い。日本人慰安婦(邦人、朝鮮人、台湾人)は、占領地調達の慰安婦と違い、単なる性のはけ口だけでなく、兵士を癒す役割を持っていた(帝国の慰安婦)。
- 『先の大戦への痛切な反省』
- ②戦後70年の日本の平和国家としての歩みのアピール。
- ③これからの国際社会への貢献(経済、文化、平和維持活動)
-
①歴史認識について(先方にも歩み寄りのシグナルがある)。
戦後○○年談話は、これを最後にしたらよい。中韓は、歴史問題を政治カード化しているので、今後絡んできても無視し、日本の戦後の姿と、未来志向の方針、決意だけを述べればよい。
中国:共産党独裁を正当化する為の方便
韓国:ルサンチマン(怨恨、憎悪、嫉妬等が内攻した感情)の発露
〈参考1〉、近衛第二次和平提案抜粋(1937.12)
満洲国を承認。
北支・内蒙古に非武装地帯設定。
北支は支那主権の下において、日満支三国の共存共栄を実現するに適当な機構を設定。
内蒙古に防共自治政府設立。
中支占拠地域に非武装地帯を設定。上海市の租界外に特殊政権設立。
所要の賠償支払い。
北支・内蒙古・中支の一定地域に必要な期間、日本軍が駐屯。
〈参考2〉、侵略の定義(指針)・・国際刑事裁判所規程における定義
・第8条の2 (侵略犯罪)
- 一、「侵略犯罪」とは、その性質、重大性および規模により、国際連合憲章の明白な違反を構成する侵略の行為の計画、準備、着手または実行をいう。
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二、第1項の適用上、「侵略の行為」とは、他国の主権、領土保全または政治的独立に対する一国による武力の行使をいう。
a. 一国の軍隊による他国領域への侵入または攻撃、若しくは一時的なものであってもかかる侵入または攻撃の結果として生じる軍事占領、または武力の行使による他国領域の全部若しくは一部の併合
b. 一国の軍隊による他国領域への砲爆撃または国による他国領域への武器の使用
c. 一国の軍隊による他国の港または沿岸の封鎖
d. 一国の軍隊による他国の陸軍、海軍または空軍若しくは海兵隊または航空隊への攻撃
e. 受け入れ国との合意で他国の領域内にある一国の軍隊の、当該合意に規定されている条件に反した使用、または当該合意の終了後のかかる領域における当該軍隊の駐留の延長
f. 略
g. 他国に対する上記載行為に相当する重大な武力行為を実行する武装した集団、団体、不正規兵または傭兵の国による若しくは国のための派遣、またはその点に関する国の実質的関与