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サロン21

サロン21 討論メモ 「紛争と地勢学」

平成27年6月16日

〔1〕.当月は、大泉潤さんに、世界各地で今日も続いている紛争に関して纏めていただいた配信済みのレジメに沿って下記をご説明いただいた。

サロン21 「世界の紛争地と地政学」

Ⅰ.趣旨
・人類は有史以来文明を高度化し、自由・平和・民主主義を追求してきた。地球上には平和で豊かな生活を享受する多くの人がいる反面、望まぬ紛争や戦乱に巻き込まれ、被害を被っている人々がいる。負傷し、家族を失い、住むに家なく、悲惨な暮らしを強いられている多くの人がいる。
・紛争は、宗教、領土、資源、欲望、民族などに起因し、発生する地点は交通の要衝、国境、資源の産出する場所、石油や麻薬の産地などさまざまである。
・資料を繙くと、前世紀末から今世紀にかけて、数十の紛争が発生し、その地域の面積の合計は、地球上の半分の土地を覆い、多くの人々が直接、間接に巻き込まれている。世界地図を拡げ、紛争地をプロットすると、五大陸にわたっている。
・まずはその実態を勉強し、加えて、UN、EU、ASEANなど国際連携の現状を整理する。
・紛争とは、国連憲章の定義:平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争 conflict

・地政学とは:
geopolitics :the political relations between countries and groups of countries in the world;
The study of these relations
・地勢学とは:
topography: the physical features of an area of land, especially the position of its rivers, mountains, etc.

Ⅱ.世界の主な紛争
現在も続いている24件の紛争をリストアップし、簡潔に説明いただいた。

Ⅲ.最近の記事、報道について説明いただいた。

また下記の資料を添付いただいた。

  1. (1)主な紛争地一覧:85ヵ所
  2. (2)世界の紛争マップ:地図
  3. (3)世界の主な数字:難民、国の借金、貿易収支、外貨準備高、貿易収支、宇宙開発、国際コンテナ取扱、失業率、石油の生産・消費 貧困飢餓人口

〔2〕.続いて出席者13名による自由な討論に入り、下記のような意見が出された。

紛争を理解するには、現在の現象だけでなく、歴史的考察が重要だ。また、経済やエネルギーの動向など世の中がどう動くかの視点も重要だ。

JALの機内誌を毎年更新していたが、地図は常に塗り替わるので細心の注意が必要だった。

紛争の根底には資源問題がある。世界中がG7並みの生活を目指せば、当然、資源不足になる。
日本が紛争に巻き込まれずに、生き残るための知恵が重要だ。
昔は大国が戦争をしたが、今は小国が代理戦争をし、大国は裏にいる。
根本は大国の利害で、実戦は小国が行っているのが実態だ。
近年は小さい紛争が多発し、国連もほとんど機能しない。
東西冷戦の終結で、逆に紛争が多発している。超国家権力が必要だ。
メルケル首相は、世界の平和なくして、ドイツの平和なし、として世界各地への軍の派遣惜しまずとしている。

安倍首相の積極外交は、信頼できる仲間を増やし平和を希求するものだろうが、同時に個々の紛争に対してどういう立ち位置で臨むべきかが問題になる。
安倍さんの俯瞰外交は良い。多くの外国と交わるべきだ。
外交は国の基本。
日本の経済は海外依存度が高く、脆弱である。

欧州各国は、十字軍から始まって、大航海、植民地戦争と世界の紛争を引き起こし続けてきた。
アフリカ、中東、アジアに紛争地域が多い。欧米に侵略され、国境を線引きされてきた地域だ。

日本は世界の紛争のどこまで、関わるべきか。例えば、アフリカは欧州に任せればいいのではないか。
アフリカ、中東には日本は自衛隊も金も出すべきだ。
シベリア、アラスカ、南米には資源開発で協力すべきだ。

尖閣は日本にとって最も大事である。沖縄が不安定になれば日本の安全は脅かされる。
集団的自衛権の論議では、日本が戦争に巻き込まれる懸念ばかりが議論されるが、日本の狙いは尖閣有事の際に米国を巻き込んで逃げられないようにすることにある。

真の意味で核の抑止力を確保するためには、位置を特定できない深海に潜む原潜を保有する必要がある。中国沿岸には深海がないので、中国は沖縄トラフがぜひとも欲しい。
中国が経済発展を続けるには大量の石油が必要。中東原油確保には手段を選ばないのではないか。
中国の横暴を阻止するには、中国を分裂させる策を考えるべきだ。
南沙諸島の基地化はほぼ完了したと報道されている。
中国は大量の人口を食わせるのは大変で、どうなるか分からない。
中国との対応は米豪も利用しながら頑張るべきだ。
中国は広い。地域ごとに人も言葉も違う。

紛争地域では教育も生き届かず、若い世代が紛争を繰り返す悪循環が起こっている。
世界は、自由、平和、民主主義を長年標榜してきたが、一向に紛争は収まらない。民主主義は紛争を抑止できるのか。
独裁主義には戻れない。意見が合わなくても仲良くする方法を考えて行くべきだ。
これだけ紛争が多いと何を信じたらいいのか、分からなくなるが、日米安保は必要。

日本の企業が紛争に巻き込まれる可能性は高くなってきている。日本企業は歴史や状況をよく勉強すべきだ。
日本企業に外人社長が増えている。外人首相はどうか。
日本は米国の52州になったらどうか。

日本の歴史を勉強すればするほど、日本はすごい国だと分かる。

日本のODAはすごい実績があるのだから、国内外に実績を発信すべきだ。
“男は黙って・・・”では国際社会には通用しない。発信すべきだ。
かつてJICAに協力して、明治以来日本がいかに独立を守りながら開国してきたかを発展途上国の若手エリートたちに説明をし、大変好評を得た。

日本からの海外旅行者は年間1700万人程度で安定しているが、日本への旅行者は急増している。2020年には3000万人に達する見込みだ。日本をよく理解してもらうチャンスだ。

外国のことは映画や小説でよくわかる。外国が良く理解できる映画、小説をクラブ内で紹介し合ったらどうか。

〔3〕.世界のさまざまな地域で、さまざまな要因で紛争が起こり続けている。日本も好むと好まざるにかかわらず、こうした紛争に関わる機会が増えると思われる。日本としては自らのアイデンティティーを見失わずに真摯に、時には覚悟を持って、対応して行くことが重要となりそうだ。

以上

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