サロン21 討論メモ 「これからどうなるアベノミクス」
平成27年10月20日
〔1〕.当月は、鳥海博さんに頭書に関するプレゼンテーションを行ってもらいました。
アベノミクス3本の矢(2012・12・26)
アベノミクス新3本の矢(2015・9.24)
の施策の内容と効果を、安倍第二・第三・第四次政権の3年弱の間の国内外の出来事と為替・株価・財政・日銀金融政策・国際収支・家計資産推移などに関する豊富なデータを基に、振り返っていただきました。為替や株価の大幅な変動のみならず、日本経済が質的・構造的に大きく変化してきていることが良く理解できました。
総括と詳細なデータはホームページに掲載されていますのでご参照ください。
〔2〕.続いて出席者13名による自由な討論に入り、下記のような意見が出された。
当局はアベノミクスの成果を、円安、株高、企業業績改善、失業者の減少などと自画自賛しているが、大幅な金融緩和の出口はどうするのか、まるで見当もつかない
三本の矢の成果が十分に検証されないままに、突然新3本の矢に移ったのは納得しがたい。
円安は日本がダメな国とみられている証で、喜ぶことではないのではないか。
日銀が国債を買い占めている現状はあまりにも異常である。
この15年で日本の海外純資産は280兆円も増加している。貿易立国から投資立国に変化している。
企業は収益改善で健全財務、
個人の金融資産も豊富、
国家の海外純資産も増加、
しかし、政府の財政だけが悪化している。
円安は本当に金融緩和のせいか、それとも日米金利差のせいか。
2007年以降の株価の推移をみると日米欧はほぼ同じカーブを辿っている、金融緩和の影響は小さいのではないか。→しかし、1989年のピーク時からたどれば、日本の株価の落ち込みは群を抜いている。→もっとも、この間、経済が成長していないから、理の当然である。
この間、日銀は物価安定のみを注視して、経済全般への施策がなかったのではないか。
日銀の大量のマネーサプライは米国の都合でやらされている、日本の国益には沿わない。
安売り店がはやっているのは、中小企業や派遣労働者の生活が苦しい証である。
しかし、中小企業の倒産件数は減っている。
若い人向けの飲食店は盛況で、消費は上向いているのではないか。
アベノミクスのコンセプトは古い。→土建屋や東北がもうかっているが、オリンピックが終わればだめになる。
アベノミクスはスローガンばかりで、真の成長路線に沿っていない、もっと地道な政策を打ち出すべきだ。
新3本の矢は的である。具体的に何をしようとしているのかが不明である。
八王子商工会議所などでは新しい産業を興す動きが活発化している、産業構造は変わりつつある。
製造業からサービス・金融の時代になっている。21世紀へ向けての構造改革が必要だが、アベノミクスは古いのではないか。
構造変化には対処すべきだが、金融立国は日本には不向きだ。技術立国を棄てるべきではない。
アベノミクスは実体経済を盛り上げる効果はない。政府のやるべきことは規制緩和、護送船団の撃沈だけである。
アベノミクスはスローガンとして評価できる。中身は官僚他が補填して行くべき。
安倍首相の政策は支持しているが、アベノミクスはよく分からない。
日本は大中小企業とも、今後は出稼ぎになる。かつて農家の次男坊は家を出て働いた。その精神を取り戻すべきだ。
日本の企業の収益率は低く、海外企業のM&Aが今後も増えるのではないか。
ヤクルトも国内は苦戦だが、海外で収益を上げている。
日本は成長を落として、中国が追い付いてくるのを待つべきだ。両国間の緊張が緩和する筈である。
短期的な目先の利益だけでなく、将来へ向けての手を打つべきだ。
人口問題は重要、外国人労働者などについてもっと大胆な政策が必要。
外国人労働者の受け入れ、難民の受け入れは複雑な問題をはらんでいる、慎重に対処すべきだ。
高齢化の進捗で働き手の扶養負担が増えるが、退職年齢を65歳から75歳に引き上げれば解決するのではないか。
国民全般に経済への関心が薄いのではないか、もっと勉強すべきだ。
2017年4月に、消費税は上げるべきでない。資産課税を強化すべきである。
金融政策はもっと大胆にやれば良い。お金を刷って配ればよい。
脱亜入欧の時だ。中国は時間の問題で破綻する。中国に深入りしている企業は危ない。
日本企業の技術力は凄い→しかし、自社技術を世界のデファクトスタンダードにする政治力も大事である。
〔3〕.アベノミクスの評価は難しいようだ。各種の経済指標の好転に安堵する一方で、異次元の金融緩和の出口、悪化する国家・地方の財政状況に懸念と不安が消えていない。日本企業や社会の利点はしっかりと残しつつ、人口減やグローバル化の進行など産業の構造変化にいかに対応した国のあり方を目指すべきなのか、官民が力を合わせて知恵を絞って行く必要がありそうだ。
以上