サロン21 討論メモ 「21世紀 日本の而立に向けて」
平成28年07月19日
〔1〕.当月は、第二次世界大戦後70年を経て、いまだに完全には独立し切れていない面を持つ日本の現状と、国際情勢の変化に付き、下記項目に沿って、森田晃司から配信済みの資料に基づいた説明があった。
1.第二次大戦後の世界秩序
2.戦後秩序に変化の兆し
- ①オバマ大統領の広島訪問
- ②米国の大統領選
- ③米国内における第二次大戦の再評価の兆し
- ④英国の国民投票
- ⑤安倍首相とプーチン大統領との度重なる会談
- ⑥地球儀俯瞰外交
3.日本の而立への道
- ①国際情勢の変化
- ②日本の歴史や文化に対する理解の世界的広がり
- ③而立に向けて日本の取るべき道
〔2〕.続いて出席者12名による自由な討議に移り、下記のような意見が出された。
現行の憲法を自虐的と捉えるのは違和感がある。70年にわたって多くの日本人が認めてきた経緯がある。
改憲勢力が3分の2をとった。しばらく前までは改憲と言うだけで大騒ぎだったので隔世の感がある。
陸上自衛隊は四方面軍の指揮が別々になっている。非常時に対応できない指揮系統だ。改憲と共に防衛省の改編問題も併せて議論すべきだ。
日本の国体とは何か、についてもっと議論すべきだ。国体の護持の為に終戦の決断が遅れ、原爆まで落とされることになった。
最近は明治憲法を持ちあげる議論が多くなり、改憲の方向が心配だ。
世論調査は科学的根拠のない方法でやっている。
世界第一次戦も第二次戦もきっかけはアヘン戦争にある。
世界唯一つの被爆国というのは日本の切り札だ。外交カードとして上手に利用すべきだ。ソ連に60万人も抑留されたのも有力なカードだ。
戦争でとられた領土は戻って来ない。北方領土の返還など土台無理な話だ。
原爆の投下は人種差別が影響している。トルーマン大統領が「日本人はBEAST(野獣)だから原爆を落としても構わない」と話している録音を聞いたことがある。
原爆の技術は戦後、米国からソ連に渡った。
地域紛争は絶えないが、世界大戦はもう起きないのではないか。
いや、戦争はいつでも起こりうる。
米国と対等なパートナーになると言っても、対等な軍備を持つ必要はない。しかし、攻撃したら反撃される能力があると相手に思わせる必要がある。
米人は日本が原爆を落とし返すことを本気で恐れている。
核兵器廃絶に向けて100年かけてのロードマップを作るべき。
中国に対して、米英が態度を変えて、包囲網を形成し始めている。
経済を金だけで測るシステムがおかしい。
GDPだけで測る経済成長がおかしい。
フィリピンの寒村では幸せそうに暮らしている、金が無い方が幸せかもしれない。
格差是正と言っても先進国と後進国では事情が違うのではないか。
グローバリズムはすべて悪いわけではない。
日本の貯蓄率が下がったのもグローバリズムの影響だが、跳ねのける力が必要だ。
トランプの指名獲得や英国の離脱はポピュリズムの表れだ。
しかし、高収入、高学歴ほど離脱を選択したというデータがある。
キャメロンが国民投票に踏み切ったのは失敗だった。
しかし、英国は早晩、決断を迫られた筈だ。
英国の離脱派の指導者が選挙後に逃げてしまったのは何だ?
資本主義とは資金主義、金本主義であり、現在の資本主義社会はユダヤ資本が握っている。
孫正義は、なぜ3.3兆円もの投資をするのか。
人工頭脳の素晴らしさを知り、近い将来に産業が大きく変わることに賭けた。
日本の競争力が落ちていることは認めなければならない。
大企業が積極性を失っている。
郵貯の民営化はゴールドマンサックスの圧力によるものだし、米国からの対日要求はあった。平等のパートナーとなるべく努力は必要だ。
中韓とは距離を置いて付き合った方が良い。しかし、歴史的につながりの深い隣国で、付き合わないでは済まされない。
塩野七生さんは、オバマ大統領の広島訪問に関連して、中韓のネガティブキャンペーンは通用しなかったとの感想を述べている。
今はグローバリズムとナショナリズムがぶつかっている時代だ。
日本の而立の為には安定政権が必要だ。
自衛力を整備し、親日国、民主主義国と理解を深め合う方向性も必要だ。
日本の歴史、とりわけ近代史をもっと勉強すべきだ、また、学校でも教えるべきだ。
日本は戦後、骨抜きにされてきた。
いや、戦勝国に囲まれながら旨くやってきたのではないか。
日本には貴い文化史があるが、日本の良いところが壊れ始めている。
外国で善行に励んだ日本人は沢山おり、各国に日本人の銅像が多数立っている、こうした事実をもっと教えるべきだ。
日本語を世界中で第二外国語として学ばせるようにしたらよい。
住友家、大倉家、安田家の家訓や近江商人の心掛けは倫理を重んじ、信用を大切にするものである。近年、こうした商売道徳が乱れてきているのではないか。
近江商人の「客良し、当方良し、世間良し」のモットーに「子孫良し」を加えれば完璧だ。
〔3〕日本の而立は相手のあることでもあり、容易ではないが、国際情勢は変化しており、日本にとって大きなうねりが来ているとも言えそうだ。困難の問題に臨むに際して日本人自身の信念と覚悟が必須であり、国内の議論を一層深めるべきであろう。
以上