サロン21 討論メモ 「日本経済の再生戦略を考える」
平成28年10月18日
〔1〕.当月は、山縣さんより日本経済の現状をご説明いただき、続いて下記のような再生戦略(案)の御提案をいただきました。
記
日本経済の再生戦略(案)の提言
(1)現在の日本経済の苦境は、基本的には、企業の国内設備投資が不足しているからである。日本再生の眼目は国内設備投資の再生にある。
(2)具体的には、①価格競争力の奪回、②新製品開発力の奪回、③苦闘する中小企業、高齢化産業の生産性向上のための設備投資を増やすことである。
(3)このままいくと日本の国内産業はどうなるか、逆に国内産業を将来も生残らすにはどれだけの設備投資の積増しを要するか、産業ごとに調査をするべきである。このような調査は実は再生戦略を国民合意の再生戦略を創るトリガーになる。2020年オリンピックまでに日本を立直すための基礎調査であると。
この調査を通じて、企業が設備投資を増やすように誘導する具体的な政策を詰めることができる。
(4)民間の努力に対して、官学ができることは多い。
- ①企業が投資をしやすい環境を整える。(例えばスクラップ&ビルド型新鋭投資への誘導、農業合理化のための旧勢力排除)
- ②日本の誇る理化学研究所、生産技術研究所、各県の工学部に価格競争力、新製品開発力の向上の専任講座を設ける。特に地場産業、農業、水産業にはこれらは助けになる。
〔2〕.続いて、上記の提言をたたき台に、出席者11名による自由な討議に移り、下記のような意見が出された。
アベノミクスの第三の矢は、ピント外れで設備投資につながっていない。
設備投資が増えないのは、消費がないからで、悪循環に陥っている。
買いたい人に金が廻っていないから消費が伸びないので、ヘリコプターマネーが有効である。
戦後の経済成長は日本人の生活レベルの向上や人口増が背景にあった。現状は全く相違しており、かつての経済成長を期待すること自体に無理がある。
現在は飽和している。高度成長期とは比較にならない。
設備投資を呼び込むには港湾、空港、道路などのインフラ整備が必須だ。
日本の港湾は国際競争力を失っている。
投資減税など、投資を促す環境作りが大切だ。
公共投資が大事だ。列島を再改造するべきだ。
失われた20年の間に日本人の勤労意欲も変化し、むしろ不正規労働を好む若者が増えてきている。
資本主義経済は限界にきている。成長が止まって当たり前で、打破するには画期的なイノベーションが必要。
資本主義経済は変わってきているが、終わるわけではない。変化して行くものだ。
もう成長は必要ない、財政再建を最優先すべきだ。
政府の負債は国民の資産とバランスしているので、政府の借金に過度の心配はいらない。安心通貨として円が買われているのがその証左だ。
AI, IOT の時代になるとそれに相応しい設備投資が求められる時代になる筈だ。
AIはシステムが変わるだけで、本当に需要を創造できるのか?
物作りに拘るべきではない。これから大事なのはソフトだ。
しかし、モノ作りの現場がないと優秀なソフトも生まれないのではないか。
設備を作って、何を作るのかが問題だ。日本人はニーズをつかむ研究が苦手ではないか。
設備投資や消費が伸びないのは、企業にも、個人にも将来への漠然とした不安があるせいではないか。活気を取り戻すには、持続可能で、しかも、強い自給自足の経済を作ると云った国民共通の目標が必要ではないか。
政府が賃上げを奨励するのは、内政干渉だ。企業の判断に任せるべきだ。
以上