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サロン21

サロン21 討論メモ 「データで見るアベノミクス」

平成28年12月20日

〔1〕当月は、鳥海博さんに安倍内閣官房参与の浜田宏一氏の著書『世界が日本経済をうらやむ日』、並びに財務省、野村証券の発表しているデータを基に、アベノミクスの効能と成果について、下記の項目のうち、第一章、第二章、終章に焦点を当ててご説明をいただいた。

第一章 アベノミクスはなぜ上手く行ったのか
第二章 日本の不況の原因は円高だった
第三章 デフレが日本を滅ぼす
第四章 なぜ日本の財政赤字はここまで膨らんだのか
第五章 なぜこれほどに金融緩和が効くのか
第六章 「貨幣が経済に効くか否か」には250年の歴史がある
第七章 株と為替で確実に稼ぐことは可能か
終章  世界が日本経済をうらやむ日

〔2〕続いて出席者11名による自由な討議に移り、下記のような意見が出された。

  • 合理的期待形成論が最近説かれるが、予想に働きかけるというアベノミクスはどこまで実効があるのか、疑問だ。
  • しかし、経済は人間の意思に影響されるので、予想や期待によって動かされる面も大きいのではないか。

  • 非伝統的金融政策:マネーサプライ(市中で流通する通貨量)とマネタリーベース(流通通貨と日銀当座預金の合計)の違いをしっかり認識する必要がある。異次元の金融緩和によってもマネーサプライは左程増加していないが、マネタリーベースは大幅に増加し、これによって為替が変動し、円安・企業業績の大幅改善につながっている。

  • 固定相場の経済理論から脱却し、変動相場を意識した経済学が必要である。今までの(1972年以前の)経済学は、そういう意味で、皆、古い経済学である。

  • 世界で戦うには為替操作能力が必要だ。かつて、80円まで円が急伸した際に、政府当局者に対策を聞いたが、米国を怒らせるので、手がないとの返答だった。(米国は時々強権を発動させる)。日本は腐敗のないまじめな社会だが、国際的にはずるくなることが必要だ。
  • リーマンショック後、欧米は大幅な金融緩和を行って通貨安を呼びこんだが、不良債権の無かった日本は緩和せず、却って円高不況を招いた。(日本は騙されたのではないか)
  • IMFの対日審査報告では日本の異次元緩和、財政赤字に警鐘を鳴らしている。しかし、IMFは必ずしも中立・公正な機関ではなく、冷静に対処すればよいのではないか。
  • 財政赤字の問題が独り歩きしているが、日本の国債は9割が国内で購入されている。政府は借金しているが、民間のネット資産は1300兆円以上もあり、世界一裕福である。日本は国際取引上、大幅な黒字国であり、国家の対外資産もかなりある。財政赤字は財務省が騒ぐほど“大変”ではない。

  • 成長戦略は難しい(これからである)。IOT,AIなどがどこまで成長につながるか。
  • 規制緩和、女性の活用、法人税減税などが取り沙汰されるが、第三の矢は他にあるのか。
    (カジノは期待できるのか)。
  • TPPは実現しないといけない。

  • 雇用は大幅に改善されて、人手不足が起こっている。学生の就職率も大きく改善されている。実質雇用者報酬も上がってきている。
  • 非正規雇用の増大は、企業の生き残る道だから、仕方がない。

  • 格差の発生・拡大は資本主義(自由主義)の宿命(本質)。別の政策で平準化すべきだ。

  • 震災による復興需要は、ある意味では、経済効果を生み出している。

  • 人口構成の歪み:社会福祉政策の見直しは必至である。20年後には恐ろしいことになる。

  • 赤字の国家財政の8つの施策:増税、歳出削減、低金利政策、インフレ(物価対策)、成長、外国借入、戦争、デフォールト。//王道は「成長」だが難しい。結局は「デフォールト」になる。

  • 財政よりも金融政策を重視し、異次元緩和を行ってきたアベノミクスは、効果を上げてきたと評価できるのではないか。

以上

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