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サロン21

サロン21 討論メモ 「アベノミクス総まくり」

〔1〕
当月は、鳥海博さんにプレゼンテーションをお願いして頭書について考えてみました。
 配信済みのレジメ並びに各種のデータを基に、5年間に及ぶアベノミクスの成果と課題について下記項目についての説明があり、また、アベノミクスを支えるリフレ派の経済理論についても説明がありました。
1.【アベノミクス小史】

序 曲(アコード):デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について

第一幕(幕開け):2012年12月~13年4月・・・『3本の矢』

第一の矢 大胆な金融政策

  • 企業・家計に定着したデフレマインドを払拭
  • 日本銀行は、経済・物価情勢を踏まえつつ(2年程度で)2%の物価安定目標を実現。
    (異次元緩和の金融政策:2%のインフレ目標/無制限の量的緩和(マネタリーベースを2年で2倍にする)/円高の是正と株価の上昇を狙いとして)

第二の矢 機動的な財政政策

  • デフレ脱却をよりスムーズに実現するため、有効需要を創出
  • 持続的成長に貢献する分野に重点を置き、成長戦略へ橋渡し
    (大規模な公共投資(税収不足は国債で賄う)/日銀による国債の大量買入と長期保有)

第三の矢 民間投資を喚起する成長戦略

  • 民間需要を持続的に生み出し、経済を力強い成長軌道に乗せていく
  • 投資によって生産性を高め、雇用や報酬という果実を広く国民生活に浸透させる
    (規制緩和や税制変更(誘導)による民間企業の活力の引出し)

第二幕:2014年10月・・・『更なる金融緩和策』(サプライズ緩和)

4月の消費増税で景気の腰折れが見えたので、
MB60~70⇒80兆円に//国債50⇒80兆円に。残存期間も7年程度を7~10年に // ETFとREIT3倍に(1⇒3兆円、300億円⇒900億円)

第三幕:2016年1月~9月・・・マイナス金利導入(他)

新しい枠組みへ(イールドカーブとオーバーシュート型コミットメントの採り入れ)。
量的緩和策に限界を感じ、金利政策に逆戻り?

2.【概 要】

A:マネー(マネタリーベース=MB)供給の効果

  1. ①景気循環論、上向きサイクル//GDP漸増(50兆円増えた)
  2. ②円髙に歯止めが掛かり、円安に。
  3. ③株価も上昇方向に転換。
  4. ④労働市場にも好影響
    (失業率も下がり(2.8%)、求人倍率も44年振りの高水準に(1.50倍))
  5. ⑤対外バランス、黒字傾向強まる。
  6. ⑥金融資産(家計、企業共)漸増して史上最高に。
  7. ⑦「企業収益」好調。資金(内部留保)増える。
  8. ●物価目標は実現にほど遠い

B:先送り・積み残した問題点

  1. ①財政再建・・・先送り(債務のGDP対比250%、世界最悪)
  2. ②人口問題・・・目を瞑る
  3. ③社会保障費(年金、介護、健保)構造的増大・・・無策?
  4. ④規制緩和(しても、また規制を作る官僚)。
  5. ⑤日銀の出口戦略(マネー引き上げ、国債売却、金利の正常化)・・・
    (マイナス金利は一時しのぎの策。常態化してはいけない)
  6. ⑥格差が拡がった
  7. ⑦日銀のB/S等大幅増(B/S、MB、国債保有高)
〔2〕
出席者10名から以下のような意見が出された。
  • 2%のインフレを政策目標にすることの是非、4倍に膨れ上がっている日銀の国債保有残高の処理など今後の出口戦略などに課題は残っているが、この5年間で、停滞していたGDPが一貫して伸び続け、顕著な実績をあげてきている。アベノミクスは高く評価すべきで、黒田総裁が日銀の金融政策を転換させたことも、後世から評価される可能性もある。
  • 日銀が株を大量に買い入れて相場を支えているのは、異常ではないか。
  • しかし、リフレ派の理論では、有価証券こそ価値を増す可能性があり、日銀の資産として、むしろ国債よりも健全と理解されている。
  • ファンドが株安→円高→株安の動きをするのに対して、日銀の株購入は牽制になるのではないか。
  • かつては日銀券の発行は国債とのバランスを保っていたが、もはや通貨発行の歯止めがなくなってしまっている。
  • プラザ合意の際には、約束の100円を超えて80円まで円高が進んでしまった。日本政府は為替については、企業が不当な不利益を被らないように踏ん張るべきだ。
  • 企業収益は改善され、株は上がり、失業率は下がった。アベノミクスはいつになったら終わるのか?
  • 黒田続投の日銀人事を見るとアベノミクスは継続される。
  • 政府はインフレで財政立て直しを狙っている。
  • 米国はスポーツ産業、エンタメが伸びている。日本もサービス業の充実、効率化が望まれる。
  • 失業率の改善が社会全体に与える影響は大きい。
  • 非正規から正規雇用への転換も進んでいる。
  • かつて労働市場の需給がひっ迫し、工員を非正規から正規雇用に転換したところ、生産性が改善された経験がある。
  • 裁量労働制は日本では管理職からだが、米国では低い職位から採用しているのではないか。
  • 地位が不安定な研究者が多い。これでは科学は振興できない。
  • デンマークや北欧各国は国民負担率が6割程度と高く、医療も教育も無料だが、勤労意欲を削ぎ、また、逆に不平等感が出たりする面もあり、一長一短あるようだ。

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