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サロン21

明治150年を迎えて

  1. 平成30年の7月に入りました。平成最後の一年が既に先々月より始まっています。今年はくしくも明治維新より150年の節目の年でもあります。
     また、維新から大東亜戦争の開戦の1941年までが73年ですが、敗戦の1945年から数えて、今年で73年でもあります。維新からの150年の歩みのちょうど真ん中に、日本人にとって未曾有の経験となった大東亜戦争が位置しています。

 治安がよく、国内外とも戦争がなく安全で、経済社会が安定し、識字率が高く文化教養が農民・町民に普及し、自給自足の平和な暮らしを築いていた江戸時代でしたが、18世紀ごろから欧米各国の脅威を感じるようになりました。厳しく管理していた貿易も圧力により通商条約の締結を強要され、開港を迫られ、社会体制の変革まで余儀なくされ、明治新政府の誕生を見ることになりました。

 明治維新後の日本の歩みは、近代化と云う名の西洋化でした。西洋の列強を手本に富国強兵を進め、社会の制度も西洋を手本に改めました。
 世界が驚く速さで近代化を進め、日露戦争の勝利により世界の一等国と認められ、幕末に締結させられた不平等条約の改定にも成功しました。
 韓国、台湾、満州、ミクロネシアなどの経営に乗り出し、世界のあり方・行く末について欧米の白人国家と争うまでとなりました。

 しかし、大東亜の解放を掲げた四年近くに及ぶ長い戦闘は、無残な敗戦に終わり、戦勝した連合国の統治をうけることとなりました。
 戦勝国の論理で、戦前の日本のあり方すべてが否定されました。軍幹部は勿論のこと、政官財並びに学会思想界の有力者も或いは処罰され、或いはパージされました。“敗戦利得者”が占領軍の手先となって動く社会となりました。軍国主義に導いたとして戦前の社会のすべてが否定され、皇室のあり方を含めて憲法改正を強要され、神道を制限され、社会の抜本的改革を強要されました。
 敗戦直後から厳しい言論統制が敷かれ、更に戦前の優良図書8千冊前後が、焚書されて、読むことができなくなりました。占領軍によって日本人の精神文化・思想の断絶が強制されました。
 それでも日本は経済面での華々しい復活を遂げて、1968年には世界第二位のGDP大国に躍進しました。

 連合国が統治した7年の間に敷かれた“東京裁判“路線により、日本は多くの伝統精神、文化、武芸を失いましたが、近年になって幾ばくかの復活を見せる分野もあり、また、日本の伝統に対する諸外国の理解も進み始めています。
 一方では、グローバリズムの大波を受け日本固有の文化や慣習の維持が難しくなっています。

 明治維新後の73年も、敗戦後の73年も、欧米各国からの直接、間接の圧力による変革の歴史でしたが、それぞれの73年に共通したものは何か、相違する点はあったのか、今後グローバリズムの波の中で、日本人が保持して行くべき日本文化の特質とは何かを考えてみましょう。

  1. 上記のテーマについて、各自自由にお考え頂きますが、参考として下記を列挙します。前後半の対比を考える一助としてください。
変革: 維新政府は自主的 VS 敗戦後は受動的
安全保障: 自主独立 VS 米国の傘の下
治安: 共同体社会 VS 都市への移住・移民の増加
憲法: 22年かけて自主制定 VS 1週間で米国製
皇室: 絶対的権威 VS 象徴へ
精神文化: 命より大切なものの存在
公共の精神
ヒーローへの賛歌
VS
VS
VS
命が何よりも大切
個人主義
女性・弱者保護
食生活: 日本の伝統食 VS 昭和35年からの急激な洋食化
産業: 産業振興 VS 農業の急激な減少、ITの発展
経営: 老舗企業・日本式経営 VS M&A・米式経営
地勢的特色: 四囲を海に囲まれた領土
狭い国土
VS
VS
交通・通信の急激な進展
海岸線大国
一国一言語: 西洋語の日本語への翻訳 VS 英語の初等教育
宗教: 廃仏毀釈 VS 神道の否定

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