米朝非核化と米中貿易戦争
I. 米朝非核化会談の行方
1. 米国が今最も恐れている核使用のシナリオ
- (ア)
- 核の原材料ウラン30kgの濃縮と技術がパキスタン、北朝鮮からテロに流れること、9.11.2001の核攻撃版
- (イ)
- 地域的核戦争の脅威: 例えばインド パキスタンの間
2. 過去の米国の戦略
- (ア)
- 1977頃 冷戦時代には明らかにソ連の方が軍事兵力は大きい
- (イ)
- 両陣営へほぼ同じ規模の戦略核及び運送手段を持っていた
- (ウ)
- 米国の対抗戦略:相殺戦略 軍事力格差を埋める通常兵器の開発
- ①ステルス技術:レーダーや赤外線誘導地対空ミサイルの無力化
- ②スマート兵器:レーザー誘導砲弾、画像誘導空対地ミサイル、地形照合誘導方式 長距離巡航ミサイル トマホーク
- ③スマートセンサー技術:空中警戒管制システムAWACS
リアルタイムで地上の全ての車両、航空機の位置方向を現場指揮官が知る - ④全地球測位システム GPS
3.核警報、軍縮 核不拡散の機会
実際に有った核警報の誤動作
1979.11.9 北米航空宇宙防衛司令部の警戒コンピューターシステムが誤動作
ソビエトより200発のICBMが飛翔中と表示:オペレーターが訓練用のテープを誤ってセットしたことが数日後判明
責任者判断の要点:200発では米国は無力化出来ず、潜水艦のSLBMで反撃される
- SALT I
- 戦略核兵器制限交渉 1971 カーター大統領 ミサイル数の制限
- SALT II
- 1979年 SALT Iではミサイル数のみ制限したので多弾頭ミサイルがでてきた
皮肉にも核弾頭数を増やした。 結局 アフガン侵攻により批准されず
4. 成功した非核化 兵器解体
- (ア)
- 1991.12.25 ソビエト連邦解体
- (イ)
- ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ3国に継承されたソビエト製のICBMとその核弾頭を安全に保管する方法:数量が判明していた。
- (ウ)
- 当時はソビエト連邦解体の混乱3国とも非核化への資金が不足していた
- (エ)
- ソ連も混乱で核関連施設へ予算が回らず、技術者のリクルートと技術流出の危機
- (オ)
- 核の流出を阻止する為の処理費用を米国が供与する法案:
上院のサム ナン、ディック ルーガー議員から防衛予算増額案として提出されて可決:ナン ルーガー法案:経済的な支援、方策も必要 - (カ)
- 実際の対応:サイロ破壊、ICBM、核弾頭の取り出しを行う:それを米国も確認
- (キ)
- 核弾頭の高濃縮ウランはロシアで希釈処理されて米国へ輸送され原発の燃料化
- (ク)
- 輸送手段であったソ連の潜水艦、爆撃機もスクラップ化
- (ケ)
- 同時に米国も同数のICBMを削減解体することでバランスをとった
- (コ)
- ソ連の相殺手段である 化学兵器の3万トンの3/4が廃棄:同時に米国も4万トンの廃棄を2020までに終了予定
5. 北朝鮮の核危機
- (ア)
- 1次1993-4 金日成 クリントン時代
- ① 朝鮮戦争 休戦状態
- ② 100万人兵力と数倍の予備役(全人口2000万人で絶望的な貧困下)国鏡近くに配備 (米国東アジアに50万人兵力 韓国は75万人)
- ③1991 ソ連崩壊で北朝鮮は後ろ盾を失う
- ④核不拡散防止条約(NPT)加盟国 国際原子力機関(IAEA)の査察も認めていた
- ⑤1993 秘密裡に核兵器開発計画が寧辺で行われているとの情報でIAEAの査察を提案 3/12にIAEAからの脱退を表明、6/11 NPTからの脱退も留保
- ⑥寧辺施設では使用済み核燃料の取り出しが始まっており、再処理で核爆弾の基となるプルトニウム出来る(数か月で原爆6-10個分出来る)
- ⑦1994始めまで外交的で幾つかの施設の査察は認めるも最終的な査察は拒否
- ⑧対抗策として非武装地帯(DMZ)ソウルへの攻撃対応と巡航ミサイルでの寧辺への攻撃計画は立案: 優先的には外交努力
- ⑨金日成と元カ-タ―大統領会談が1994/6/14/事前交渉なしで平壌で行われ 1994年末に枠組み合意
- 制裁と在韓米軍20万人増強は取止め:但し再処理停止は困難
- 北朝鮮は2基大型原子炉建設中止
- 稼働中原子炉再処理は中止合意
- 日本、韓国は軽水炉を建設、米国は
- 稼働まで電力確保のため石油提供
- (イ)
- 2次 1998-9 クリントン2期目 韓国 金大中大統領(太陽政策) 日本小渕首相 (拉致問題)北朝鮮 金正日
- ①テポドンの発射実験 中、長距離ミサイル開発:ICBMへ :抑止力と技術を他国へ売る
- ②日米韓3か国協議
- 国交正常化、朝鮮戦争終結の平和条約締結
- 制裁強化威圧的戦略: 第七艦隊の増強、韓国への米軍増派、ミサイル
- ③ペリー氏が日本 韓国両首脳の親書を持ち平壌で交渉
核兵器と長距離ミサイルの放棄が国交正常化への道と説得 - ④シドニーオリンピックへ南北統一選手団派遣、南北首脳会談等
New Yorkフィルの平壌訪問等の成功の兆しが有った
- (ウ)
- 3次 2012以降 金正日、金正恩委員長 現在 割愛
- ① 制裁対応
- ② 第2回核実験 第3回核実験
- ③ 長距離ミサイルの開発継続
- (エ)
- ペリー氏の北朝鮮との非核化交渉への見方
- ①体制維持の為に核開発
- ②独裁国家だが狂ってはいない
- ③合意しても、合意に拘束するとは考えていない
- ④経済制裁を回避する為には自国の安全保障、核開発は諦めない
- ⑤経験から核弾頭の削減や解体の検証は困難
- ⑥合意が成立しても、合意内容の保証があるのか