東芝と日立の企業文化について
- 〔1〕
- 12月は、監査役などを務められる傍ら、長年にわたって企業文化を研究されてきている上原利夫さんのプレゼンテーションで、頭書について考えてみました。上原さんが、グループで勉強されている「DF研究報告書」に基づき、両社の生い立ち、発展の過程、経営者の資質、社風の違いを見つめ、何が両社の明暗を分けたのかを解説頂きました。
- 〔2〕
- 引き続き、出席者13名から以下のような意見が出されました。
- 会社には、会長、社長よりも偉い人がいるようだ。
それは、神? シンボリックマネージャー? 企業文化? - 企業文化のはっきりしない会社は伸びない。
- 日産も企業文化が見えない会社だ。
- 日立の主力工場は地方にあり、野武士のイメージに対して、東芝の工場は都会に多くあり、上品な公家のイメージ。
- 東芝のトップは石坂泰三経団連会長を始めとして、経済団体の要職についてきて、社業がおろそかになったのではないか。
- 東芝には、国益、公益に貢献するという気風があり、そんな気持ちから経済団体の要職を引き受けたのではないか。
- 東芝は昭和14年に、生い立ちも歴史も全く違う芝浦製作所と東京電機が国策で対等合併をして誕生した。両部門の気質の違いはそのまま存続したので、“東芝の企業文化“と括りにくい面がある。
- 東芝の各部門との取引を経験したが、技術者は極めて優秀。必ず復活してくれると信じている。
- 東芝の工場に勤務した。社員は社会的使命に燃え、一致団結して良いものを作ろうと頑張っていて、生きがいを感じる日々だった。
- 日立の工場と交流会を持っていた。日立の管理職は海外経験が豊富だった。
- 東芝は米国での買収案件の失敗から今日の事態を招いた。余りにも短期間に、余りにも巨額の損失を被ることになったが、買収の意思決定に経済要因以外の力が加わったのではないか。
- 日本の国内でも子会社の管理は難しい。まして海外の子会社の実態を把握するのは極めて難しい。
- 東芝は国益、公益の為に自社の経験を披歴したが、日立は閉鎖的な傾向があった。
- 銀行は破たんする企業には金を貸せない。データ―、社風、社長の気質などが判断の決め手となる。
- 社長はワンマンであり、その社長の一存で後継社長が決まる。したがって誰もワンマン社長に文句が言えなくなる。これは会社法だけ整えても是正できない。
- 日本はソフトが弱い。このままでは伝統のもの作りもピンチだ。