「日本の近代化は江戸時代に始まる 前篇」
〔1〕9月は、浅井壮一郎さんに掲題の前篇として主に欧米の近代化についてご自身で纏められた詳細の資料を基にご説明願った。
福沢諭吉は明治以前の日本に欠けていたものは物理学と独立心と主張。また、通説では近代化の必要十分条件は①資本主義・②産業革命・③国民国家の成立 とされる。日本は江戸時代には、これらの全ての点を既に達成していたのではないか。
それでは、明治の日本がお手本にした欧米の近代化とはどんなものだったのか、
フランス革命、
ドイツ(プロイセン)の軍の再生
イギリスの近代化、
アメリカの独立と西欧の近代化(普通選挙)
について要点を解説頂いた。また、“市民革命”の市民は一般市民ではなく。ブルジョワジーであり、彼らの金もうけの為の権利の確立が革命の主眼だったのではないか。
欧米との対比における、江戸時代の日本の実情はどうであったか、次回の後編で説明願うこととした。
〔2〕引き続き、出席者8名による討論に入り、以下のような意見が出された。
- フランス革命は自由・平等・博愛の戦いと思っていたが、ブルジョワの権力闘争という側面やブルジョワの為の取引の自由・私有財産権の確立などの目的を知り、勉強になった。
- 日本では、フランス革命が美化され過ぎている。英国の著名な歴史家エドモンド・バークはこの革命を酷評している。
- 近代化の一つの側面が国民軍の創設。ナポレオンの軍隊は国民軍であり、従来の傭兵に比し、コストが安く、意気も高く連戦連勝した。
- 近代化の末に米国が強大な国になった要因は何か。
- 石油・金を始め資源に恵まれた点と英国に対抗し植民地から自力で独立したことがエネルギーになった。
- 英国の植民地政策は競合するものを許さぬ苛烈さで、米国はこれをはねのけたのが力になった。
- 人種のるつぼで言葉も通じず、逆に規格化、標準化が進み生産性の向上につながったのではないか。
- マックス・ウェーバーは“近代化の大事な要素は規格化”と云っているが、高い技能の職人が米国にいなかったことが逆に幸いした。
- 米国大統領選挙の選挙人制度は、選挙民のレベルが低いことを想定した制度だ。